この6月に、地域の中心的医療法人に所属する訪問介護事業所が閉鎖することが発覚し、訪問介護事業所の間に衝撃が走っている。

経営コンサルタントが主導
もちろん、ここ20年くらいの間、「利益が出ない」「不採算」などといわれてきた訪問介護事業は、医療法人においても次々と切り捨てられてきた。だが今回の事業所閉鎖は、これまで持ちこたえてきたところが、ついに力尽きて閉鎖になるという点で象徴的だ。
昨年4月の訪問介護事業の介護報酬引き下げは、すでに記事にしたとおり、小規模・零細事業所を直撃し、私が稼働している地域ではこの1年に1割程度の事業所が姿を消している。まさに「小規模事業所つぶしの介護報酬切り下げ」だった。
これに加えて今回は、比較的大規模でも訪問介護事業は切り捨てられることが浮きぼりになった。私の知人が、最近この介護事業所のスタッフとの接触に成功し、閉鎖の原因を聞くことができた。要は、外から「医療経営コンサルタント」なるものが介入してきて法人経営をのっとってしまい、「業務効率化」として訪問介護事業の閉鎖を決めたのだという。閉鎖の決定にあたって、現場スタッフへの聞き取りや話し合いなどはなかったという。

それでも訪問を続けたい
そのスタッフは、「自分は訪問介護が好きなので、どこか別の事業所で仕事を続けたい。けれど、コンサルタントからはデイサービスへの異動が指示されており、従わないと自己都合退職になると言われ困っている」とのことだ。現在、9月の事業所完全閉鎖の前に、今かかえている利用者に新しい事業者を手配するのに手一杯で、自分のことを考えている余裕すらないようだ。
「自己責任」の名のもとに、「私利私欲」がまかり通る今の世の中、こうした献身的な人がいることは貴重なことだと思う。同時にそれを食い物にする医療コンサルタントを、野放しにすることはできない。困っている地域の仲間を支え、現状を変えるために一緒に進めればと思う。(小柳太郎/介護ヘルパー)