
7月22日、関西電力森望社長の会見が行われた。美浜原発の後継機設置検討の自主的な現地調査を再開するというのである。大手電力会社が原発の新設に向けた具体的な検討をするのは東日本大震災以降、初めて。
関電は2010年にいったん新設の調査に着手していたが、東電福島第一原発の事故を受けて中止していた。それを第7次エネルギー基本計画の「原発の最大限活用」を受けて活断層が多数存在する美浜原発敷地内に新増設するという。
関電は「地元の合意を得て」といつもながらの説明を行っているが、これまでのやり方を見ているとそういうときには、言葉は丁寧でも地元自治体に根回しが始まっていると見ていい。
ただ、森社長がいうように調査に複数年、建設に20年、費用は1基につき1兆円かかるので、急ぐ間にはあわない。ではなぜ今発表するのかというと、私は素人なので確かなことは言えないが、株価が上がったり、投資を募ることができたりということがあるのではないだろうか? (株価は22日発表を境に上がり続けている。投資の時期は未定)
そして美浜3号機は運転開始から49年経過しているので、原子炉内に入っている試験片(中性子照射によって脆化(ぜいか)がどの程度進んだか調べるもの)はどうなっているのか気になるところである。一定年経過したところで取りだしてシャルピー衝撃試験というものを行うのだが、試験片がなくなったらもう原子炉は動かせないのではないか?
うがった見方かもしれないが、こういうことも新設の動機になっているのではないだろうか?
関電の思わくはともかく、使用済み核燃料の行き場がない状態でこれ以上核ゴミを増やすことは許されない。再稼働も新設も増設も許すことはできない。
7月30日は美浜現地で、また8月2日は関電本店前で抗議行動が行われる。「原発増設を許さない」と声をあげよう。(池内潤子)
