
防衛省は8月末、26年度予算の概算要求を過去最大の8兆8400億円余りを要求すると決めた。今年度当初予算を1450億円上回り、過去最大規模となる。5年間で43兆円を使うことになる。
「先制攻撃の能力」整備など
8・8兆円の使い道は、長距離射程のミサイル導入など「敵基地攻撃能力」(先制攻撃能力)の整備、攻撃型無人機(ドローン)を活用する「湾岸防衛強化構想シールド」計画など。さらに、米トランプ大統領は日本に対し、「GDP比3・5%にせよ」と要求している。
対中国、対「北朝鮮」の「封じ込め」や「台湾有事」を煽り、どんどん軍事的緊張を高めようということだ。軍拡競争は、戦争を煽るものでしかない。なぜ平和外交に力を注がないのか。

「5兆円あれば」何ができる?
「5兆円あったら、何ができるか」という試算がある。大学授業料の無償化には1・8兆円、公的保険医療負担ゼロは4・8兆円、消費税2%引き下げには4・3兆円でできる。
石破政権と独占資本のインフレ政策の加速により、諸物価が高騰し、私たちの生活は窮迫しつつある。労働者の賃金は、何年も低下したまま。貧富の格差は拡大し、女性・若者や非正規労働者は、より困難になりつつある。それなのに、「自己責任」にされてしまう。
憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む(権利がある)」と謳っている。もはや我慢の限界が近づいているかも知れない。庶民は預貯金もわずか。けがや病気もうかうかできない。家賃や税金の滞納も…。
生保「門前払い」も
「最後のセーフティネット」とされる生活保護制度を利用しようにも、窓口での「門前払い」も起きている。政府は2913年から3年間、生活保護基準の引き下げ(戦後最大の引き下げ)を行なった。憲法25条を真っ向から否定する事態に、「取り消し」訴訟も起こっている。最高裁は6月に、「厚労省が算出した物価指数に基づく一律4・78%の引き下げは違法」と判決を下した。
戦争国家への道を走り続ける政府、石破政権による「生存権の破壊や社会保障切り捨て」に抗し、憲法改悪を阻止し、平和で安心して暮らせる社会を、私たちはめざす。(嘉直)
