ガザの、いま。「天井のない監獄から、地上の地獄」と言われる。イスラエルは、ガザ全域の制圧すようと攻撃を激化させている。
ガザ保健省によると2023年10月以降、イスラエル軍の攻撃によるガザの死者は6万4231人、負傷者16万1583人、行方不明者9000人となった(9月9日現在)。
ガザ地区では深刻な栄養失調が拡大しており、飢餓の危機の現実が迫っている。子ども10人に1人が栄養失調、3万5千人が急性栄養失調に陥っており、そのうち約6千500人は重度の状態にあるといわれる。

「危機段階」(国際司法裁判所)
国際的な食料安全保障の評価機関であるIPCによれば、2025年9月までにガザ全域がIPCフェーズ3以上(危機段階)に陥り、22%にあたる約47万人がフェーズ5(飢饉)に直面する可能性がある。
なぜか。2025年1月から2月の停戦期間中には、国連主導によるによる支援がガザで展開されていた。3月2日以降の「人道支援物資の搬入禁止」により、その機能がほとんど止まってしまった。以前は200カ所あった配布拠点がGHF(アメリカ、イスラエルが設立したガザ人道財団)の4カ所に減らされた。200万人を超える住民への援助は根本的に不十分となった。
GHFの配布拠点や、食料を求めて集まった人々への銃撃も起こっている。8月31日、ジェノサイド(大量殺戮)を調査研究し防止策を推進する「国際ジェノサイド研究者協会」(IAGS)は、「イスラエルがパレスチナ・ガザで組織的かつ広範囲に人道に対する罪、戦争犯罪、集団虐殺を行っている」と宣言する決議を採択した。

拷問、不当拘禁、性的暴力も
決議によると、イスラエル政府による行為には、拷問、不当拘禁、性的暴力のほか、医療従事者、人道支援者、ジャーナリストに対する意図的な攻撃や住民の生存な不可欠な食料、水、医薬品、電力を意図的に欠乏させることが含まれる。「イスラエルは、5万人以上の子どもを殺害または負傷させており、子どもを標的にすることは集団を破滅させる意図の表れだ」と断じた。
また、「イスラエルによるガザにおける政策と行為は、ジェノサイド条約が法的に定義するジェノサイドであり、国際人道法、国際刑事裁判所(ICC)のローマ規定で定義される戦争犯罪、人道に対する罪に該当する」と宣言した。

「まぎれもないジェノサイド」
岡真理さん(早稲田大教授・京都大名誉教授)は、「イスラエルとは何か。パレスチナ人の民族浄化の暴力の上に建設された、入植者植民地主義の国であり、難民の帰還権を認めず、違法な占領、封鎖を継続している。ユダヤ人至上主義のアパルトヘイト体制をとっている国。いま起こっているのは、まぎれもなくジェノサイドである」(9月9日、神戸新聞)と述べている。
イスラエル、アメリカ、それに協力する日本政府に言いたい。「ジェノサイドやめろ!」(庄)