多くのスッタフが熱中症症状に
酷暑の夏が、ようやく終わろうとしている。当然に、介護現場にも重大な傷跡を残している。介護関係者や家族、研究者らで構成する「ケア社会をつくる会」が、8月末から呼びかけているアンケート「炎天下の訪問介護・移動支援について」の結果は衝撃的だ(9月8日現在の中間集計では、約580人が回答した。
https://caresociety.net/
たとえば、「熱中症のような症状があるか」との問に…
・よくある  11%
・時々ある  36%
・まれにある 29%
合計76%、4分の3が熱中症疑いの症状を経験していた。「帰宅後、脱水症状で動けない、嘔吐(吐き気)で水も飲めない、病院にも行けなかった」「頭痛やだるさを感じることが多く、日常的に痛み止めの薬を服用している」など、きびしい訴えが続く。

介護中にめまい、吐き気も
外を移動する時だけでなく、訪問先での暑さを訴える声も多い。エアコンをつけない利用者が少なくないだけでなく、エアコンが届かない台所、風呂場、トイレなどでの業務があるからだ。
「家の掃除を行うとシャツが絞れるほど汗をかき、めまいを感じる」「トイレ掃除中にめまいが起こり、手すりにつかまり座り込んでしまった」「入浴介助も拷問のよう。マスクも着けなければならない決まり、息切れやめまいで倒れそうになる」など、切実だ。

行政幹部は現場に同行せよ!
これらの内容については、すでに『介護の現場から』連載コラムで書いてきた。今回のアンケートでは、それが全国的な課題であることが明らかになった形だ。
私自身は、もちろん熱中症対策は可能な限りやっているが、せいぜい「軽度熱中症が、重度熱中症にならない」くらいが限界だ。訪問介護における現状の人員と予算では、その程度だろう。
こうした状況がなかなか改善されないのは、介護業界だけにかぎらないが、それらの仕事に責任を持つべき行政や会社の幹部が、「現場の痛み」を知らないからだと思う。

厚労省幹部は夏冬の現場へ
私の回りの同僚たちは、「公務員になったら、全員1年間の介護現場をやらせないとダメだ」と言っている。もっともだ。新規採用から始めても効果は薄い。劇的効果を求めるなら、厚生労働省、兵庫県、神戸市それぞれの高齢福祉課長と障害福祉課長に月の第3週(月の第1〜2週は月初の会議がある)の月曜〜金曜を、現場のヘルパーに同行するよう義務化するといいと思う。なお、現在、訪問介護ヘルパーの平均年齢は60歳台前半であり、「歳だから…」という逃げは通用しない。
特に厚生労働省の幹部は、夏は最高気温40℃の地域、冬は1日の最高気温が0℃以下の北海道や北陸・山陰の豪雪地帯、春・秋は特養の夜勤の5連続勤務…といった現場を回ってほしい。「現状に問題はない…と言い切っている幹部に、現場の厳しさを身体に叩きこまないと気がすまない」というヘルパーは多い。(小柳太郎)