
10月4日、自民党総裁選挙は、裏金キックバックと統一教会問題に喘ぐ、自民党の分裂をさらに促進するものとなった。選挙結果は以下の通り。
【1回目投票】
高市早苗(議員64、党員119=183)
小泉進次郎(議員80、党員84=164)
3位 林芳正(議員72、党員62=134)
【決選投票】
◎高市早苗(議員149、党員36=185)
小泉進次郎(議員145、党員11=156)
決戦投票で議員票が真っ二つに割れたことにより、直後から党役員人事と内閣ポストをめぐって高市は苦境に立たされている。
低調に終わった「総裁選」
今回の自民党総裁選の特徴は、その低調ぶりにある。この間、自民党の総裁選挙は、自公与党の過半数を背景に、事実上「次の総理大臣を決める選挙」としてマスメディアで扱われてきた。期間中、新聞、テレビなどメディアを、自民党の主張で塗りつぶすことが最大の効果だった。したがって「どの候補が選ばれたか」よりも、「どの程度盛り上がったか」の方が、次の総選挙にとって大きな意味を持つ。
そのこの点でいえば、恒例の秋葉原の街頭演説会ですら聴衆300人程度で盛り上がりを欠き、「今回の総裁選は全体的に国民の関心が薄く、特に若い世代を引きつけられていない」と報道されていた。
「解党的出直し」とは何か
今回の自民総裁選で自民党が突きつけられていたのは、昨年の衆院選と今年の参院選の敗因と向き合うことだった。全社会的な生活苦・物価高を背景に、裏金キックバックと統一教会問題に対する曖昧な対応を反省し、徹底的にウミを出し切ることが求められていた。自民党の歴史上、長きにわたって議席と利権の世襲が蔓延し、カルト集団である統一教会と選挙のたびごとに関係を深めていたのだから、これはまさしく「自民党の解党」にも等しいことだった。
旧安倍派(清和会)と麻生派にとって、それは自分たちの「死」しか意味しない。特に麻生太郎(85歳)は、長男に自らの政治基盤を引き継がせること、そのためにも麻生派をフル回転させて石破を政権から引きずり降ろし、高市支持にのめりこんだ。
結局、自民党は「解党的出直し」を拒否した。今後、裏金議員、統一協会関係の議員が次々と「復活」するのは避けられない。それは、次の総選挙で自民党の致命傷になるだろう。
排外主義と対決、高市政権を倒すには
一方、高市政権の登場は、外国人ヘイト勢力などを勢いづかせる。全力での対決が求められる。
高市は、総裁選挙スタート直後に「奈良公園のシカに、外国人観光客が暴行を加えている」などという趣旨のヘイト発言を行なった。各方面からファクトチェックが行なわれ、結局、奈良公園と奈良県警、いずれも「外国人によるシカへの暴行は確認されていない」ということだった。
こうした高市のヘイト発言は、今後エスカレートすることが予想される。「事実を武器に」、高市を追い詰めていかなければ…と強く思う。(淀川一博)*写真はユーチューブから引用しました。
