石川一雄さんを追悼する映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』の上映会が開かれた(10月13日、神戸市内)。
上映の後、監督の金聖雄(キム・ソンウン)さん、撮影した池田俊已さんの対談が行われ、狭山再審を求める市民の会・こうべから、今後の活動について訴えがあった。

朗らか、温かい石川さん
金監督と池田さんは、対談で次のように述べた。
「映画は2013年に制作した。はじめて石川一雄さんに会ったとき、自分の中にある偏見を思い知らされた」「本当にえん罪なのか、殺人犯なのか、怖い人、暗い人…、変な想像がどんどん膨らんでいきました」「しかし、石川さんはきちんとしていて朗らか、温かくユニークな人だった」
「映画をつくるうえで、たたかう石川さんのシーンを少なくし、夫妻二人の日常生活を撮りながら、人間性がよくわかるものにしたいと思いました」「二人の間では、ジェンダー問題もあってユニークでした。ラブストーリーとして狭山事件を描きたかった」
「普段の石川さんは、『たたかう石川一雄、元気な石川一雄』を演じなければならないという面もあった。しかし、徳島に行ったときは少し解放されていた感じ」「早智子さんは、『楽しそうな一雄を撮ってくれてありがとう』と話していた」

冤罪へ怒り告発する獄友3人
「理不尽を生き抜く輝きを撮る、映画をつくりながら、えん罪を知ることを心がけました。映画の中で袴田事件の袴田巌さん、布川事件の桜井昌司さん、杉山卓夫さんとの交流も描きました」「獄友となったみなさんは、人間味にあふれていました」「作品は第69回毎日映画コンクール、ドキュメンタリー映画賞をうけることができ、授賞式には石川さん夫妻と出席しました」
さらに、石川早智子さんの言葉を紹介しました。「いつも明るく、前向きに生きていた一雄さん。でも、やっぱりいっぱい苦しくて、いっぱい悲しくて、いっぱい怒りがあったんだと、あらためて思う」「ウグイスの短歌があった。今頃はウグイスになって全国各地を訴えて飛んでいるのだろうか。それとも行きたかったケニアに行って野生動物をみているかな~。ここまで頑張って頑張って、頑張って生きてきたね。もう頑張らなくてもいいね。『後は任せたよ』と言っている一雄の声が聞こえるよ」

私たちに向けられた言葉
「『後を任せたよ』という言葉は、私たち一人ひとりに向けられたものだと思います」「袴田事件再審勝利から、何をつなげていくのかが大事だと思っています。嬉しい知らせ~10月14日に東京高裁で3者協議が開かれます」「76年前の三鷹事件の再審にむけ、証人尋問が行われます。それを東京高裁・家令裁判長が決めました。期待をもって見守りましょう」
狭山再審を求める市民の会・こうべからは、「第4次再審請求にむけ、石川早智子さんへのメッセージカードを書こう。第4次再審請求署名を集めよう。東京高裁・家令裁判長に事実調べ、裁判やり直しを迫っていこう」「秋の臨時国会で、再審法の改正をかちとろう」と訴えがあった。
映画を見た人が、「石川一雄さんは、優しい目をしていますね」と話していた。ともに、進んでいきたい。(庄)*石川一雄さん/2025年3月11日、出身の埼玉県狭山市で死去(享年86)