「からふる フェスティバル」が開かれた。(11月15日、神戸市垂水文化センター)約500人が参加した。地元の市民団体「プラットホームたるみん」(連絡先/tarumin2024@gmail.com)が呼びかけた実行委員会の主催だった。
呼びかけのチラシには、「カラフル×ハートフル×ピースフル、それぞれの色が輝く一日、音楽・踊り・体験・出会い、こどももおとなも大歓迎! あなたの笑顔がフェスの主役、レバンテホールで会いましょう」とある。

「多様性」がキーワード
堅い言葉に言い換えれば「多様性」がキーワードのイベントなのだが、それはメインステージの参加者の顔ぶれだけでも感じることができる。
・Fir-St-Art軽音部 バンド演奏(不登校の生徒たちに、音楽活動の場所を提供)
・音遊びの会 即興演奏(障がい者を中心にした楽器演奏)
・「アイ女性会議 創作落語「選択的夫婦別姓」
・音楽堂 ダンスと歌、楽器演奏(「福祉と音楽の融合」をテーマにした放課後デイ、B型作業所など)
・神戸聴覚特別支援学校 クンバダプンムル隊(聴覚障がい者によるチャンゴ、太鼓などの演奏と踊り)
・兵庫県中国帰還者の会 中国楽器演奏とヤンガー踊り
・神戸朝鮮高級学校 吹奏楽演奏、朝鮮舞踊
紙すき体験、車イス乗車体験ほか「体験コーナー」や、中国切り絵、書籍やお菓子、キムチ&チヂミ販売などの「出店ブース」、能登災害ボランティア写真、神戸朝鮮高級学校・美術部作品の「展示ブース」、さらにステージ出演者とひざを交えた「交流のひろば」…、普段は地域で地道に活動している団体や個人が一堂に集まることができた。子どもが参加しやすいようにと、スタンプラリーも実施され、盛況だった。
これらの企画は神戸市と区役所が後援、市の地域貢献活動補助事業の助成対象となり、協賛団体には神戸朝高生とともに歩む会、日朝友好兵庫県民の会、つむぐ学舎、兵庫県中国帰還者の会、中国「残留日本人孤児」を支援する兵庫県民の会、アムネスティ支援する会西神戸、アイ女性会議垂水支部が参加した。

未来への灯、あたたかさいっぱい
ステージ参加者が、舞台の後で口をそろえ「あたたかい雰囲気でよかった」と語っていた。全体の雰囲気が出ていると思う。私も早い段階からイベントの準備にかかわってきたが、会議の資料に「あたたかく」という用語は使われていなかったと思う。それどころか、「よりそう」「やさしさ」「きずな」のような、政府広報などで使い古された単語も見聞きしてない。「おたがいの個性を大事に、多様な人たちといっしょに楽しい時間をすごしたい」…そういう願いがあっただけだった。
その多様性をもとめ続ける努力が、結果として参加者全体が感じる「あたたかさ」を実現した。「日本人ファースト」など、寒々とした言葉が踊っている今の日本社会に、一つの「未来への灯火(ともしび)」をつけたと言えるだろう。
今回の成功でより元気になり、主催者たちは来年にむけて活動を始めている。私も、この活動をつづけ、ささやかな灯火を地域に広げていきたい。(小柳太郎/神戸市)