
「戦争と法」~命と暮らしは守られるか~という講演会があった(12月6日、神戸市内)。(講師は弁護士の永井幸寿さん、兵庫県弁護士9条の会ほか共催)。永井さんは、「高市発言を批判すると、SNSなどで逆に叩かれるような世相…」「あらためて法と戦争を考えてみたい」と、次のように話した。
戦争と災害。どちらも多くの死傷者が出る。大きな災害はしばしば起きるが、あらかじめ想定、シュミレーション、対策も立てられる。1次的な権限は市町村、都道府県が「後方支援」に当たる。戦争は「人が起こす」が、想定が困難。トップダウン、戦争は外交の延長であり、その失敗。国に責任がある。しかし被害を受けるのは国民であり、私たちは知る権利がある。
避難の場合も、災害は避難所を設け炊き出しや食料、医療、仮設住宅、その他の提供ができる。戦争、国民保護法があり災害救助法とほぼ同じだが、自衛隊の「協力」はない、戦争に「専念」しているから。実際に「沖縄戦」では、そうだった。補償は、どうか。災害救助法には「遺族」」に500万円その他の給付があるが、戦争には、ない。
戦争をしない方法は
「自衛隊は何を守る」のか。自衛隊法3条「我が国の平和と独立を守り…我が国を防衛する…」~守るのは国家である。ちなみに警察法2条は、「個人の生命、身体、財産の保護…公共の安全と秩序の維持…」、消防も「火災を予防、鎮圧し、国民の生命身体。財産を保護、火災・災害等の被害を軽減…」とされている。軍隊が国民を守らなかったのは、かつての戦争や「緊急事態条項」の歴史を見ても明らか。戦後の、日本国憲法には「権力に濫用される危険があるため、あえて緊急事態条項を設けていない。「緊急事態」への対応は、災害救助法、新型インフル特措法など個別法で対処する。
戦争をしない方法は…。安全保障について欧米ではDIME(外交、情報、軍事、経済)という考え方があるが、日本では過度に「軍事」に比重が置く傾向がある。昨今の「中国、台湾」問題、1972年の「日本が台湾問題を充分に理解し尊重し、両岸問題の平和的解決へ」とした日中共同声明を考えるべき。国益とは国家の利益ではなく、国民が命と豊かな暮らしを守ることにある。(ま)
