渡辺信雄
ドングリの音
何の音か
屋根に石の当たるような音
いや、ドングリの落ちる音だ
頭上に繁る樹から
地に落ちてくるのだ
足でゴリゴリ踏みしめると
ここちよい体感がつたわる

まわりから園児たちの高い声
(どんぐりいっぱいひろったよ―)
袋の実は季節の飾りとなる
消えない思い出が出来あがる
熊は知らないこと
人は冬眠できない
木枯らしが吹いて
すっぽんぽんの幹と枝は
新しい光につつまれる