広島の知人、河野美代子さん(8・6ヒロシマ平和の夕べ/被爆2世)が、ブログ「いろいろダイアリー」に漫画版『碑 いしぶみ』(ポプラ社)のことを書いていました。それで思い出したのですが、こんなことがありました。
原作(文章版)の旧版に、被爆死した私の兄の雅郎も記載されており、その名前のルビが「まさお」となっていました。兄は、「まさろう」といいました。「たいしたことでもないし、いいか」と思いましたが、「このまま残ってしまうのも…」と思い直し、ポプラ社に「些細なことですが、名前の読みは、まさろうが正しいのです…」と手紙を書きました。
すると、折り返し「この本は、ポプラ社として最も大切に発行してきました。すぐに訂正させていただきます」と丁寧な返事が届き、次の版からルビが直っていました。小さなルビ一つに、ポプラ社の姿勢を思いました。
漫画版の元になった原作『いしぶみ』は、私の手許にある古い本では「1970年に初版第1刷、1981年17刷」とあり、2009年に新書版の第1刷が出され、2016年に第8刷となっています。初版から50数年、25刷が重ねられました。(竹田雅博)