
軍事と経済、それぞれを「成長産業」として東アジア、東南アジア、オーストラリア、そしてインドまで軍事と経済で結び、「国益にかなう」アジアの秩序の形成だ。中距離ミサイル装備の原子力潜水艦、長射程ミサイルの装備、無人攻撃機の導入と戦略化など、とんでもない戦争準備と戦争のできる国家体制に励んでいる。高市政権は「台湾有事」を叫び、戦争を煽り、女性差別をはじめとした差別・排外主義を維新の会とともに扇動しつつ、「自らの国は自ら守る」という参政党の後押しを受けながら、人々の、私たちの反戦意識や反核意識を解体し、憲法9条や非核三原則などの戦後的制約を一気に踏み外そうとしている。
昨年末に閣議決定された26年度当初予算案は、25年度当初の軍事費8兆7千億を上回り、9兆円を超え過去最大となる。敵基地攻撃能力を一段と高めようとしている。国産スタンド・オフ・ミサイル、12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)の開発、研究費1770億円、高速滑空弾、極超音速誘導弾、水上、水中、空中で活用する無人機の開発と取得などである。
忘れてはいけないのは、次期戦闘機の開発費用である。さらに、「もがみ」型護衛艦を各国に売り込もうとしている。経団連元会長などは、昨年の「防衛強化の有識者会議」で「物価高を踏まえ、さらに一層増額せよ」と進言している。軍需産業の育成と国有化を目指している。国営「死の商人」が暗躍しようとしている。
高市政権の「責任ある積極財政」の財源とは、赤字財政出動をやる、所得・消費を増やし、税収を増加させる、「絵に描いた餅」そのものだ。26年度当初予算しかり、債務残高を増やし、「巨額の借金」をつくりながら、赤字国債の発行で賄い続けるというものであり、さらに天文学的債務を増やし抱え続けようとしている。
いまガザで爆弾の恐怖に震える子どもたち かつては日本 沖縄にもいた(那須喜代子:朝日歌壇、12月7日)
安倍政権を引き継いだ高市政権は、「積極財政」として少数のエリートと大企業による階級的、社会的不平等と格差の拡大、環境条件の崩壊をもたらそうとしている。大衆的な支持基盤確保のために、維新という新保守主義を必要とした。公的支給への緊縮政策を激化させ、経済全体、そのものを軍事大国への道へ歩ませようとしている。
貧困に陥れば、「それは自分の責任だ」「体制のせいではなく、自分のせいなのだ」と、人々を「不健全な落伍者」にする。企業家は労働者をとことん搾取を強化し、利益率を最大化にするために、絶えず賃金を削減しようと試みる。生産性は向上しても、実質賃金は増えない。人口の大部分を貧困化させ、失業者を増加させ、使い捨てできる労働者が作り出され、不安定な雇用がますます大きくなる。
医療、教育、広範な社会サービスなどの福祉政策(高齢者介護など)が、資本の餌食とされ、国家は資本・企業を支援し、助成さえする積極的主体となり、税制措置、直接助成、インフラ整備、制約となる規制の回避を行なう。自民党と日本維新の会との同盟は、強力に国家を支持する。権力の金融化をも否定をしないし、加えて軍事国家を目指している。新自由主義に染まった国家そのものが、さらに一層の新自由主義的プロジェクトを推し進め、社会の右傾化と分断を引き起こしていく。富裕層は必然的に裕福となり、貧困層は停滞する。そして社会的不平等を拡大していく。労働者階級は解体され、分断される。
軍事費を増やし生活保護を減らす美しき国に我は住みおり(岩部博道:朝日歌壇、12月21日)
新自由主義と新保守主義との同盟を打ち破るような、それこそ大衆的な反対運動が必要である。「台湾有事」の連呼、「存立危機事態」宣言とアメリカからのミサイル購入、防衛費の大幅増額、核共有から核保有と、二段、三段も階段を駆け上っている。じつに様々な破滅的な破壊的な政治形態が出現している。この根本にある経済的、政治的な諸条件を吟味していかなければ…。右翼ポピュリズム的な運動は、その根本から絶たねばならない。自らの生きにくさを、そしてその根本的な原因とその構造を明らかにし、現在の困難から脱出方法を指し示さなければならない。このままであれば、私たちを包み込んでいくファシズム的な権威主義に深く、飲み込まれてしまう。
2015年夏、集団的自衛権行使容認を柱とした安全保障関連法に反対し、12万人が国会前で抗議の声を上げた。若者や学者、母親など多様な人々が、立場を超え反対の意思を政権に突きつけた。全国47都道府県1000カ所以上で、集会やデモが繰り広げられた。大阪・扇町公園でも2万5000人が、「戦争法反対」を訴えた。その安保法制反対から10年。2025年秋、総がかり実行委員会が戦争法廃止を呼びかけ、「武力で平和はつくれない!戦争法を廃止にせよ」と、国会前が抗議の声で埋め尽くされた。
総がかり行動実行委員会代表の菱山南帆子さんは呼びかける。「私たちは、運動に満ち引きがあってもたたかい続けてきた。私たちのたたかいは、簡単につぶされない力強さがあり、みんなが抵抗の火種でありつづけることが大事だ。スパイ防止法は、思想弾圧が狙いであり、戦前のように戻してはいけない。子どもたちに安心して暮らせる未来を手渡すために力を合わせ、運動をとめないで頑張ろう」と訴えている。
ウクライナの人々は戦争など望んではいない。ロシアの人々も戦争を望んではいない。パレスチナの人々も戦争など望んではいない。イスラエルの人々だってそうだ。そして台湾の人々にとっても「台湾有事」は、迷惑な話だ。中国の人たちも、戦争など望むものではない。平和を求める民衆の運動に、新たに火をつけ再活性をさせていく必要がある。私たちは、破滅的、破壊的戦争など望んでいない。若者を見殺しにしてはならない。
「希望は戦争など、まっぴらごめんだ」…。強制と競争の戦争経済反対という、大衆的な運動をつくり出していこう。
「教育を無償化とせよ」「医療を無償化せよ」「住居を公有化し、家賃を無償化せよ」…。あらゆる公共的な生活領域を市場から取り戻し、再び公有化と無償化を要求する(運輸機関、地下鉄、JR、郵便事業など)。水道料金、電力料金を無償とせよ…。
軍事予算の増額など、まっぴらごめんだ。実質生活賃金をよこせ。(嘉直) (おわり)
*写真=海上自衛隊の空母「かが」~26000排水トン、戦闘機F35などを搭載する。同型艦「いずも」と2隻体制。艦名は旧海軍の空母「加賀」を引き継いでいる。
