「無防備都市宣言」とは特定の都市がハーグ陸戦条約第25条に定められた無防守都市であることを紛争当事者に対して宣言したことを指す。
 無防備都市に攻撃を行うことは戦時国際法によって禁止されている。その地域が軍事的な抵抗を行う能力と意思がない地域であることを宣言することによって、その地域に対する攻撃の軍事的利益をなくし、軍事作戦による攻撃で受ける被害を最小限に抑えるためになされる。
 4月26日付の『週刊金曜日』で「無防備都市宣言」の有効性について言及した反戦自衛官・小西誠さんのリモート講演会が京都市内で開かれ、次のように話した。     (10月10日/塚本)
 
南西諸島で問われているのは「生命権」だ
 
 南西諸島では本格的な戦争準備が始まっている。昨年9月の陸上自衛隊演習では北海道などから10万人、車両2万台、航空機120機の機動展開演習を行った。11月の自衛隊統合演習では、自衛隊3万人と米軍5800人が先島で初めて合同演習をした。中国大陸にとどくミサイルの配備も始まっている。米軍前司令官は「台湾を巡る危機は2027年までに」と発言したが、その真意は「それまでに自衛隊の南西シフトを完成させよ」という要求だ。ただし、ウクライナでの米軍の対応をみれば分かるとおり、台湾有事の際には日本と台湾に対応させるつもりだ。
問われるのは軍民の分離であり、「生命権」の尊重だ。今日の市街戦における市民の犠牲は甚大だ。「領土防衛軍」の運命はあまりに悲惨だ。第二次大戦中にも、パリ、ローマ、マニラでは「無防備都市」を宣言して市民を守った。南西諸島の住民のいのちを守るためには「無防備都市宣言」を選択すべきだ。