辺野古新基地建設に反対して行われた海上大行動=4月25日、名護市

辺野古の工事状況にくわしい北上田毅さんが、大阪、神戸で「辺野古はどうなっているか」「どうなるか」を話した。くわしい講演記録、パワーポイントもあるが概略、要旨にまとめた。(文責/本紙編集委員会)

辺野古の工事の状況は、今どうなっているか。これからどうなるのか。防衛局による県への設計変更申請をめぐる裁判は最終局面を向かえている。「承認から12年で供用開始できる」というのが政府案だが、実際はそれどころではない。大浦湾の軟弱地盤、美謝川の付け替え工事、活断層などなどなど。仮に、できるとしても15年、20年…だ。「もう一押し!辺野古新基地建設は頓挫する!」。
そして、「沖縄を再び戦場(いくさば)にしない」ということ。特に昨年の安保3文書から、(沖縄の)新聞では連日のように1面で報道されてきた。宮古、石垣、与那国など南西諸島への日米の軍事力が強化されている。南西諸島の軍事基地化、ミサイル配備の問題。新聞だけ見ても、凄まじい。もちろん抗議行動、さまざま反対運動が続いている。「辺野古の現状とこれから」「沖縄の軍事基地化」の二つを中心に話したい。

設計変更 振り出しに戻る

辺野古の埋め立て承認から現在。防衛省の設計変更手続き対し、玉城知事が不承認を出した。大浦湾の工事は一切できない状況になっている。工事は、公有水面埋め立て法による。一から地盤改良工事の設計変更工事をやり直すという、振り出しに戻っている。
辺野古側の埋立て工事は一応進んでいる。辺野古側は、防衛局が4カ月ごとに進捗状況を発表する。今国会で防衛省へ議員ヒヤリングしたとき、「3月末で全体の14%」と答えている。辺野古側は、ほぼ94%。7月ころには、埋め立て工事は終了のはずだ。
ところが辺野古側の1、2工区でさらに100万㎥の埋立て工事の入札している。防衛局は「辺野古側の地盤沈下の予備土砂だ」とごまかすだろうが、おそらく辺野古側への「土砂仮置き」と思われる。設計変更が承認されたら、大浦湾の埋め立てに使用する土砂の先取りだ。

美謝川付替え難工事 活断層も

今、工事の中心は美謝川切り替え工事と辺野古弾薬庫の整備。美謝川は、キャンプシュワブがあり、国道があり辺野古ダムがあり、そこから大浦湾の埋め立て区域に流れ込んでいる。大浦湾を埋め立てようとすると、この川がある限りできない。防衛局の計画では、北側の国道に沿って新しく水路をつくり、国道を横断し暗渠で渡し埋めて区域の奥の方に新しく水路をつくる。ここも軟弱地盤があり、かなりの難工事で大幅に遅れている。辺野古断層が走り、活断層といわれている。
辺野古弾薬庫の改修工事もある。海兵隊の弾薬庫は、地下のドーム型に並んでいる。15ほど弾薬庫があり、米軍・海兵隊の全ての弾薬を扱う。ここが麻痺すると沖縄の海兵隊が機能しなくなる。復帰前には、核が置かれていた。弾薬庫の側に米兵の宿舎があるが、いまでもシェルターが設置されている。今、本当に核がないのかも疑わしい。

普天間代替でなく巨大な新基地

大浦湾側に長大な岸壁がつくられ、米軍の大型艦船が入港できる。滑走路の横に弾薬積み込み箇所もできる。普天間基地と全く性格の違う米軍基地、自衛隊の新基地として使われる。そのための弾薬庫の改修工事である。
防衛局は、「一刻も早く普天間の危険性を排除する」と言っていたが、防衛省の役人の中には「本体工事だけで11年から15年かかる」(読売新聞スクープ)と。官邸側の「10年以内に抑えろ」という意向で9年になっている。20年4月に設計変更が出され、12年すれば完成するはずだが、あくまで知事が設計変更申請を承認し、大浦湾の工事ができるようになってから12年だ。知事が承認しないで頑張る、国が代執行など姑息な手段で強行したとしても20年以上先。完成する見込みは無くなっている。
仮に辺野古新基地ができれば、沖縄の米軍、自衛隊の一大拠点になる。辺野古に固執することにより、逆に普天間の危険性は永久に固定化される。「辺野古が完成しても」返してくれる保証はない。米軍は、那覇空港など3000メートル滑走路がある空港を提供しないかぎり返さないというのが条件だ。
名護市から美ら海水族館、その途中に本部・塩川港、手前に安和桟橋がある。付近の山は削り取られ、標高350メートルくらいの山がほとんど平地になった。ダンプの公害問題も起こっている。石、砕石ではなく赤土交じりの粘土だから粉塵が舞い上がる。雨が降ればダンプから濁水が流れ、道路の側溝から海に流れ込む。乾燥すると粉塵になる。管理しているのは沖縄県。「雨が5ミリ降れば作業を中止」と確約させている、それを無視して作業する時があり、現場で阻止、監視活動を行っている。私たちは、地域の環境問題としても取り組んでいる。

立ちはだかる軟弱地盤

具体的な工事の問題点と裁判の話に触れたい。海面から90メートルまで軟弱地盤があり、防衛局は設計変更に追い込まれた。そのためのサンドコンパクションという工法は、大きな作業船で直径2メートルの巨大パイプの先に砂を入れ打ち込む。軟弱地盤から基礎の固い地盤の所まで打ち込み、パイプを抜くと砂だけ残る。それを固めていくと砂が杭のような状態になる、砂杭の直径は2メートル、その砂杭をびっしり海の中に埋め込む。国は、「施工実績が豊富で問題ない」と言うが、日本での実績は海面下65メートルまでしかない。70でもわからない、90は論外だ。
そもそも、このクラスの軟弱地盤改良工事の作業船は日本に1隻しかない。同時に3隻必要。土砂運搬船、陸揚げ船、砂を敷き詰める船、特殊な大型船も必要だ。防衛局によると作業区域に100隻をこえる船が入る。汚濁防止膜やフェンスが張られ、そこに同時に100隻の船で作業できるはずがない。沖縄県も「工事計画自身が杜撰」と質問している。

M8級の巨大地震地域

さらに外周護岸工事の地盤の強度。最も重要なB27地点を調査していない。デニー知事の不承認の最大の理由も、このこと。裁判で国と県が論争しており、研究者による辺野古調査団があり、「震度1の地震でも護岸は崩壊する」と明らかにした。22年3月、政府の地震調査委員会が南西諸島周辺で「マグニチュード8級の巨大地震が起きる可能性がある」と評価表を見直した。辺野古の工事も見直す必要があるが、しない。
裁判の状況は厳しい。政府に忖度した裁判所、沖縄県は3つ争っている。夏から年内にも県敗訴という形で裁判が終わる可能性がある。しかし、裁判所が県の訴えを退けても、軟弱地盤が改善されるわけではない。現在の設計変更申請が承認され、代執行をやっても地盤、護岸が沈下、傾くなど、要するに使い物にならない。仮に「完成しても」保守工事が延々と続く。防衛局の設計変更でも地盤沈下を認め、「滑走路そのものをジャッキーアップする」計画になっている。
関与取消訴訟は3月に高裁で負け、夏にも判決が出る可能性がある。抗告訴訟も、そうだ。最高裁で県が敗訴し「決着しても」、いずれ設計変更しなくてはならない。今回の裁判に一喜一憂する必要はない。

安保3文書で一変する沖縄と島々

昨年12月、安保3文書が閣議決定された。日米共同作戦で南西諸島に米軍と自衛隊が展開するというのは、21年ころから言われていた。初期の段階で台湾と中国に動きが起これば、「重要影響事態」と米軍が南西諸島40の島々攻撃拠点をおいて対処する。反撃に備え攻撃し、次の島に移って攻撃する。本格的な戦争になれば米軍が後ろに撤退し、自衛隊が前線に残って戦う。「重要影響事態」の中では後方支援だが、「存立危機事態」「武力攻撃事態」になれば、米軍がさがり自衛隊が戦う。それが3文書で言われている。
防衛費43兆円、GDP2%が強調されている。辺野古は、自衛隊と米軍が共同使用することが21年1月には明らかになった。要するに辺野古弾薬庫と辺野古新基地は、米軍と自衛隊が共同使用する基地だ。沖縄県は防衛局に対し、「共同使用」を質問しているが、国は答えない。
辺野古に限らずどこも、米軍と自衛隊が共同使用することは明らか。いわゆる第1列島線に自衛隊の基地が配備され、与那国の自衛隊基地も米軍が使用している。昨年11月、与那国の公道を戦車が走り、今年3月には、石垣にミサイルが来た。与那国、石垣、宮古は、町中に自衛隊車両が走り回っている。PAC3が配備され、「北朝鮮の動き」に港湾、空港は県が管理しているのに、必要な許可なしに自衛隊が使っている。本部・塩川港は沖縄県が所管している港。私たちは県と交渉してきたが、安保3文書を受け港、空港、公共施設を自衛隊、米軍が公然と使うことに。自治体は、どこまで毅然とした対応できるのか。

若い世代が中心に

「自衛隊配備の問題」「沖縄を戦場にしない」という運動は、従来のオール沖縄タイプの運動とは流れが変わりつつある。昨年、今年と、若者たちが中心になっている。先日も北谷(ちゃたん)で2千人ほど集まった。これまでの年寄りたち、シニアのグループは、若者たちに集会やスローガンを任せている。いっしょにできるようになってきた。県民全体の新しい運動をつくりあげたい。ミサイル配備反対の集会やデモだけではなく、自然、環境を破壊しないことにも声をあげる。

北上田毅(きたうえだ・つよし)/1945年生まれ。沖縄平和市民連絡会。元土木技術者として高江ヘリパッドや辺野古新基地建設などに反対し運動する。辺野古では抗議船にも乗る。情報公開で大浦湾の軟弱地盤を見つけ摘発する。『高江が潰された日』(共著、沖縄平和サポート、2018年)プログ「チョイさんの沖縄日記」など。