
SNSに掲載されていた、ある訪問介護ヘルパースタッフの本音。
「家事の中でご飯作りがいちばん嫌だ。私なりに頑張るが、嫌々な気持ちが伝わるのだろう。暫くするとチェンジ。食事作りは振られなくなった」「今日も元気に訪問介護行ってきます。2件とも家事援助。料理下手の私がご飯作り…悩むが、やるしかない」(『みーつけあ』https://meetscare.jp/article/10065)
「ご飯作り」=調理は訪問介護業務の中でも鬼門の一つ。利用者さんとのトラブルが発生しやすいところ。要介護の人は、概ね外出の機会が制限されており、数少ない楽しみが食事です。しかも好みは千差万別。ご本人の「普通」が、ヘルパーにとっては「初めてのインパクト」みたいなことも珍しくありません。
本屋に行くと、介護関連のコーナーに「介護食」の本があります。しかし、それらはたいてい介護ヘルパーが実際に業務でつくるメニューとは一致しません。いちばんの理由は、行政から割り振られる時間が短く、本に出てくるような「じっくり時間と心をこめたレシピ」は、残念ながら現場で活用できないからです。さらに生活保護の世帯なら予算の制約がきつくて、材料選び、メニューは限られます。
「限られた時間とお金で心をこめる」というところが、介護ヘルパーの職業特性の重要な一つになっています。「本当はやってあげたいけど、時間とお金が…」と、出かかる言葉を飲み込みながらの毎日の仕事です。ストレスたまりますね…。
そんなヘルパーの悩みに、現場では『クックパッド』などネット情報が多く利用されているようです。いわゆる時短レシピが多く、食材から調理可能なレシピを逆引きで検索できることが、その理由と思われます。
私の場合、タサン志麻さんというNHKでも何度かとりあげられた人の本に、ずいぶん救われました。「3時間で15品をつくる」で有名な人ですね。もとは星がつくようなフレンチのシェフだったのですが、故あって「家政婦業」に。
その「志麻さん焼きそば」というのが絶品レシピ。ユーチューブでも調理動画が多数投稿されています。私も現場で作ってみて、利用者さんから高評価を受けました。
現場で大事なのは、ヘルパーの側の努力について「頑張ってます」「やってます」みたいな雰囲気が出ないようにすることだと考えます。そうしないと、逆に利用者さんにストレスが発生します。「ご飯作り」は、「結果勝負」のヘルパーの仕事の一つ。今日もヘルパー仲間たちは、「時間と予算の制約」のもと、頑張っています。(小柳太郎/介護ヘルパー)
