
青い火花ファンド
今年3月に創党したばかりの祖国革新党は4月10日の総選挙を戦うだけの選挙資金がありませんでした。そこで祖国革新党のチョ・グク(曺国)代表(写真下、中央)は50億ウォンを目標とした「青い火花ファンド」を有権者に提案しました。今回の比例代表選挙で祖国革新党が1議席以上を獲得すれば、国から52億8000万ウォンを選挙補助金として受け取ることができるからです。このファンドには3・65%の金利を付けていましたが、チョ・グク代表は十分返済可能と踏んでいました。こうして祖国革新党は選挙費用を調達することができたのです。
韓国の選挙公営制のもう一つの特徴として、一定比率の女性公認候補あるいは障がい者公認候補を立てれば、別途各政党に公認補助金が分配されます。これは日本の選挙制度と大きく違う点です。
後援金と寄託金
いま日本では政治資金パーティをめぐる裏金問題が政権を揺るがしていますが、韓国政治資金法では、政党および政治家個人に対する団体・企業献金は禁止されています。献金ができるのは個人だけです。その場合も中央選挙管理委員会に登録された政党・個人の後援会に寄付する「政治後援金」に限られており、個人が寄附できる後援金は年間2000万ウォン(約228万円)までと定められています。
韓国の政治資金制度で特に興味深いのが「寄託金制度」というものです。この制度では個人が中央選挙管理委員会に寄附をします。こうして集められた寄託金を中央管理委員会が各政党に分配するのです。こういう特定の政党や個人にあてたものではない政治献金の仕方が韓国にはあるのです。
桁違いの党員数
そしてもう一つ、日本と韓国が大きく違うのが政党の党費です。日本の第一野党の立憲民主党と韓国の第一野党の共に民主党の最大の違いは党員数だと思います。立憲民主党が2021年に発表した党員と協力党員は10万人でしたが、韓国の共に民主党の党員数は250万人です。この党員が党費を払うだけでなく、党の公認候補を決める過程にも参加し、選挙運動も担うため、韓国の選挙運動というのは非常に熱くなります。
ただ、韓国では一つだけ合法的な政治資金の抜け道があります。それが出版記念会です。選挙前になると各候補者は一斉にブックコンサートを開きます。例えば定価1000円の本を、参加者たちはその10倍の1万円ほど払って購入するのです。そしてブックコンサートの売り上げは政治資金ではなく慶弔費と見なされており、選挙管理委員会への報告義務がないのです。これが唯一、韓国の政治資金で解決すべき点ではないかと思います。韓国では個人が献金した場合の税額控除制度もあります。
また、韓国の選挙はとにかくみんなが歌って踊って楽しい。選挙カーで候補者のロゴソングを流しダンスをするので、通行人も思わず足を止めて注目するのです。こうした選挙運動のスタイルも日本と違うところだと思います。(つづく)
