兵庫県庁

斎藤元彦・兵庫県知事の己をまったく顧みない姿勢に誰もが驚くが、辞任でなく失職を選び知事選に再出馬する。一連の事態を振り返ってみる。3月12日、元西播磨県民局長が、「知事の違法行為等」について文書で内部告発した(以下要旨)
①五百旗頭真(いおきべ・まこと)・ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長(元県立大理事長)を片山副知事が訪問し、御厨貴(みくりや・たかし)、河田惠昭(かわた・よしあき)両理事の解任を通告。五百旗頭氏は翌日、急性大動脈解離により急逝した。知事の理不尽な仕打ちに激高し、命を縮めたと言われる。②斎藤氏は昨年下半期から県下の商工会議所などに、次の知事選の投票依頼を開始。(公職選挙法、地方公務員法違反)。昨年7月に政治資金パーティ、商工会議所や商工会に「県からの補助金カット」をほのめかし、大量のパーティ券を購入させた。③阪神・オリックス優勝パレード(昨年11月)時には、費用捻出のため信用金庫へ補助金を増額し、募金としてキックバックさせた。担当した課長は、一連の「不正行為」や大阪府との調整にうつ病を発症し、後に死去した。
斎藤氏はこれらの告発にたいし、副知事らに「作成者(犯人)探し」を指示(公益通報者保護法違反)、「うそ八百、公務員失格」などと誹謗する。すでに退職していた県民局長を「復職」させ(5月7日)、停職3カ月の懲戒処分とした。6月、兵庫県議会が百条委員会を設置。7月7日、元県民局長が死亡。9月12日、県議86名全員が知事辞職要求を提出。19日県議会が全会一致(86名)で知事不信任案を可決した。
9月26日、斎藤氏が会見で「出直し知事選に立候補」を表明。「3年前に大きな負託を受けた」「果たして知事が職を辞するべきことなのか」「改革にむけ、まだまだ仕事をしたい」など反省の色は全くなし。亡くなった2人の職員への悼みも聞いたことがない。
3年前、長く続いた「副知事から知事へ」という兵庫県政に「改革」を掲げて斎藤氏を推したのが維新だ。自民の一部も推薦した。その「改革」とは、「公用車をワンボックスカーに変えた(7年間で830万円削減)」「県立大の無償化(対象は新入生のわずか1・8%)」「行革で県の財政基金3倍に(実は税収増による)」などで、「実績」として自慢できるものではない。
知事選は10月31日告示、11月17日投開票。斎藤・維新の県政私物化に終止符を打ち、民主主義と県民のための県政への好機としたい。(竹田)