性暴力を受けた被害者は、心や体に深い傷を負うだけでなく、病院での診察や警察・弁護士への相談などさまざまな負担がともないます。あちこちの窓口を回り、そのたびに被害を語らせられることがどれほど耐えがたいか、そのため、誰にも相談できずに泣き寝入りすることの方が多いということは想像に難くありません。被害者の負担を減らし、確実に支援につなげようと生まれたのが「ワンストップ支援センター」です。
病院やNPOなどが窓口となり、被害者はこの窓口に相談すれば必要な診察や支援を受けることができます。現在はほとんどの県に1、2カ所ありますが、その先駆けとなったのが、14年前2010年に設立された大阪・松原市の阪南中央病院を拠点とするNPO法人「性暴力救援センター・大阪 SACHICO」です。大阪では唯一のワンストップ支援センターです。
受けてきた電話件数は5万2千件余、来所数1万4千件余、診療および支援した実人数は3722人に上ります。しかし、必要不可欠な機関であるにもかかわらず、国や大阪府からの補助金は運営費のごく一部で、維持費の多くは病院の負担と寄付金で賄い、治療にあたる医師・看護師の「善意の超過勤務」という形で乗り切っていました。一民間医療機関ではこれ以上続けられず、来年3月末、SACHICOが撤退しなければならなくなっています。
性被害者に支援員が寄り添いサポートすることの大切さとともに、初期的な医療(診療、処置―婦人科、外科、精神科、小児科等々全般)は不可欠です。大阪で唯一の病院型ワンストップセンターをなくしてはならないと、その存続と体制強化を大阪府に求める請願署名が全国に呼びかけられています。(新田)

【署名の問合せは】
「性暴力救援センター・大阪 SACHICO の存続と発展を願う会」
thttps://note.com/sachico_seigan
【SACHICOとは】
性    Sexual
暴力   Assault
危機   Crisis
治療的  Healing
介入   Intervention
センター Center
大阪   Osaka