
昨年12月17日、経済対策も含む、一般会計総額13兆9433億円の2024年度補正予算が国会で成立した。この中には、「介護職の賃上げを行うための補助」として計上される806億円も含まれている。
ヘルパーは月6・9万円不足
昨年9月19日に、全国老人保健施設協会など9団体が共同で発表した、「介護現場における物価高騰・賃上げ等の状況調査」によると、全産業の平均賃上げ率が3・62%に対し、医療・介護・看護業は2・19%と業種別の賃上げ率で最も低い数字だった。
平均賃金で見ても、介護職は全産業平均と比較し、2022年度6・8万円(全産業平均36・1万、-介護職29・3万)の差だったのが、2023年度には6・9万円(全産業平均36・9万-介護職30・0万)と拡大している。ここに「1人あたり5・4万円」を加えたとしても、平均賃金との差分1カ月分も埋まらない。
これは、介護報酬と最低賃金の変遷を比較しても明らかだ。介護報酬は、2000年当時から比較しておおよそ1・132倍であり、25年で1割しか上昇していない。それに比べ、最低賃金の全国加重平均は2000年には659円だったのが、2024年には1055円となり、6割上昇している。ヘルパーの賃金は、最低賃金からもおいて行かれている。
「1人5・4万円」は配られない
一部で「ヘルパー1人に5・4万円」との誤解を生む報道がされているが、実際は違う。この補正予算は、「常勤者1人につき5・4万円」ということであり、仮に常勤者2人と非常勤10名の職場だった場合、事業所に降りてくるのは2人分の10・8万円であり、これを総勢12人で分け合うこととなる。大抵の介護事業所には、「主力級」と言える稼働時間の多い非常勤スタッフがいるが、ここへの配慮は全く無い。
また、今回は「介護職員等処遇改善加算を算定している事業者、かつ生産性向上や職場環境の改善に取り組んでいる事業者」に対象が絞られている。人手不足で煩雑な事務処理まで手が回らない事業者は、あらかじめ排除されている。ここには、財務省が主導する「中小零細の介護事業所は整理して大手5社程度に集約する」という方針が色濃く出ている。
ヘルパー産別運動の突破口
今回の補正予算だけでは、介護体制の崩壊は止まらない。しかし、政府がこうした形で「ヘルパーの低賃金状態」を認めたことは重大な情勢だ。課題は、介護労働者の主体形成と言える。今回の問題をきっかけに、職場と地域で議論を起こし、介護ヘルパー産別組織の形成につなげなければ…。(淀川一博)
