昨年の兵庫県知事選で「2馬力選挙」など、デマ宣伝と脅迫行為を行った立花孝志が「確かな情報」としていた、音声データや文書などがどこからきたものか。各方面から追及されてきたが、2月23日までに維新の兵庫県議会議員21名のうち3名が情報漏えいに関わったことが明らかになった。3名は、2月月23日に緊急の記者会見を開いている。

3議員は何をしたのか
増山誠・百条委員
昨年10月25日に行われた百条委員会では、片山・元副知事に対する証人尋問が行われた。「県知事選への影響を避けるため」として尋問の様子は選挙が終わるまで「非公開」となっていた。ところが、選挙期間中に「尋問中のやりとりの音声データがSNSに流出した。
奥谷委員長が、片山・元副知事の告発者の私的情報についての証言を制止する場面が収録されていた。増山県議は19日、インターネットメディアのユーチューブ配信に出演し、「発言を録音して(NHK党の)立花孝志氏に(音声データを)提供したのは、私」と明らかにし、「元県民局長が文書を作った経緯について、多くの事実をより広く県民の方に知ってもらって選挙に臨むことが重要だという強い思いがあった」と理由を説明した。
しかし、証人尋問を非公開とするかどうかを多数決で決定する際、先月に亡くなった竹内英明県議が非公開に「反対」の立場をとっていた一方、増山県議は「賛成」の立場をとっていた。議決では「非公開に賛成」しながら、こっそり私的にレコーダーを回し、立花に情報を持ち込んだということだ。この一事をもっても議員失格は免れない。

岸口実・百条委員会副委員長
立花孝志は、「兵庫県の斎藤知事の失職を狙った黒幕が、1月に亡くなった元県議らだ」などと主張する文書を、県知事選挙の期間中にSNSで公開した。立花は、この文書を日本維新の会の岸口実・県議から入手したと主張していたが、日本維新の会の岩谷幹事長は記者会見で「岸口議員が民間人と一緒に立花氏と面会した」ことを認めた上で、「手渡したと言われても反論のしようがない」と話していることを明らかにした。
この文書には、いわゆる「10年で部下10人と不倫」という事実と異なった内容が含まれており、立花が「2馬力選挙」でも、この内容を街頭演説と選挙掲示板にポスターとして大々的に宣伝した際にも、岸口県議は沈黙をもって立花と斉藤候補に協力した。百条委員会の副委員長でありながら、このような行為におよんだからには、委員、議員を辞職するしかない。

白井孝明・県議
白井県議は、知事選告示後の昨年11月以降、立花と計3回電話でやり取りをしたと説明。その中で「こちらから情報を提供したことはない」と主張した。一方、情報を提供したいとの意向で支援者を通じて自身の連絡先を伝えたことも明らかにした。
その上で白井県議は、告発文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)や、斎藤氏の失職に伴う出直し選などを巡って「委員会(百条委)での取り扱いや、メディアの情報に偏りがあると感じていた。噂話であっても『こういう情報がある』ということをオープンにしたかった」と釈明した。「自分は発信力が弱い。立花氏の力を借りたいという思いがあった」と明かした。支離滅裂である。自分の犯した非を認めず言い逃れに走るようでは、これも議員失格である。

なぜ立花孝志に漏洩したのか
最大の問題は、秘密会議であるはずの百条委員会の情報を何故に、そろいもそろって立花孝志に漏洩したのかということだ。「県民にあえてこの情報を伝えたい」ということなら、まずは県議として自分自身で公開すべきだ。そうでなくとも当時は県知事選挙が始まっており、維新公認の清水候補が立候補しているのだから、まずは情報公開について維新ルートで検討されるのが本筋だ。
しかし、敢えてすでに「2馬力選挙」に踏み込んでいる立花孝志に情報を漏えいしたのは、「斉藤元彦を当選させたい」「過激な方法で対立候補を攻撃してほしい」との意図がみてとれる。それが立花孝志の奥谷百条委員会委員長、竹内県議への自宅脅迫行為へとエスカレートした際には、3人は素知らぬふりをしていたのだ。その罪は立花孝志と同様に重い。
昨年の兵庫県知事選挙における、不正行為と違法行為の数々が明らかになった。維新3県議は議員を辞職するべきであり、維新は政党として調査の上、責任ある処分をしなければならない。(淀川一博)
*写真は兵庫県議会インターネット配信から。