那覇地裁で千葉和夫さんの判決公判を傍聴した(3月11日)。千葉さんが参加する「辺野古ぶるー」は、辺野古大浦湾で進められている辺野古新基地建設埋め立て工事に、手漕ぎのカヌーで抗議する活動を続けている。
2021年4月15日、臨時制限区域とされる海域で海上保安庁が、大馬力エンジン2基を搭載したGBと呼ばれる大きなゴムボート2艇を千葉さんの乗ったカヌーを挟み込むようにして衝突させ、千葉さんは意識不明となり救急車で運ばれた。現在も千葉さんはむち打ち症の後遺症に苦しめられている。
これに対し千葉さんは、次のように国に損害賠償請求の裁判を提訴した。①被告の行為は憲法に保障された表現の自由を著しく侵すものであり、不当である。②臨時制限区域とされる海域で海上保安官による本件停船措置には、法的根拠が存在しない。
この訴えに対し、那覇地裁は「原告の請求は棄却する。訴訟費用は原告負担とする。主文は省略する」と、わずか20秒ほどの読み上げで裁判を終わらせた。
臨時制限区域とされる海域は、海上にポツンと浮かぶブイとブイを結ぶ直線内を示し、国は「この内部に入ることは刑事特別法違反だから、海保がその行動を制限する根拠がある」とする。しかし、刑特法は米軍への提供施設及び区域を定めているのであって工事中の臨時制限区域がそれにあたるかどうかは、「米軍から異議がないことをもって同意を得たものとする」と主張し、その根拠となる議事録の開示もしない。
車の接触で身体への直接衝突が無い交通事故でも、むち打ち症が起こるのは常識なのにカヌーに乗った千葉さんがGBの下に潜り込むほどの衝撃を受けても、これを「軽微な接触」とし、むち打ち症の診断書があるにもかかわらず、千葉さんの後遺症を「詐病」とさえ呼んでいる。
このでたらめな国側主張を全面的に受け入れた那覇地裁の判決は、いま危ぶまれている「司法の独立」が、沖縄では既に完全に失われていることを示している。この不当判決を決して受け入れることはできないし、たたかいへの決意を鈍らせるものでもない。(小野純一/辺野古ぶるーHYОGО)