
年明けから浜岡原発のデータ不正が明らかにされ、再稼働が危ぶまれている。このまま廃炉になってほしい。なぜならデータ不正は今に始まったことではなく、しかも浜岡原発だけのことではないからだ。すべての原発が廃炉になってもいいくらいの重大な不正行為だ。
基準地震動を小さくみせかけ
浜岡原発が立地するのは、最大震度7が予想されている場所である。それなのに原発施設の耐震設計をする上で前提となる最重要のデータ「基準地震動」を操作し、小さくみせかけた罪は重い。
地震動とは、地震による地面や地中の揺れのことだ。通常は20通りの揺れを計算し、その平均に最も近い揺れを代表波に選ぶ。しかし中部電力は数千通りの揺れを計算し、平均より小さい揺れを代表波としていた。しかも、その揺れが代表波に見えるように、「19通りの揺れ」を捏造していたのである。悪質極まりない。
この不正が分かったのは、昨年2月に規制委にたいして外部通報があったからである。規制委は名前の通り規制する気があるなら独自の調査をするべきではないか。電力会社任せの報告を書面で見ているだけではウソを見抜くことはできない。
基準地震動は平均値でいいのか?
ところで、地震動を考える時、平均値で考えていいのだろうか? 中部電力が正しく計算して基準地震動の大きさを出したとしても、実際の地震による揺れは平均値より小さいこともあれば、大きいこともある。自然は人間さまが考えるような都合に合わせてくれないのだから、その土地で起きた、あるいは起きるであろう最大値で考えるべきだ。
大津波襲来予測を握りつぶした東電
電力会社によるデータ不正はこれだけではない。原発廃炉に大きく世論が傾いた原因となった2011年の福島第一原発の過酷事故。この責任を問う裁判過程で15.7メートルの津波予測が無視されていたことが明らかになった。
2008年春に東電子会社の東電設計は、福島第一原発には敷地の高さ10メートルを超えて、最大15.7メートルの津波が来襲する可能性があるという結果をつかんでいた。東電本店の土木グループは、津波想定の大幅引上げとそれに見合う対策工事が必要だと認識。沖に防波堤を建設し、敷地上に防潮壁を築くなどの計画の検討を始めたが、この意見は同年の7月の会議で、土木学会(公益社団法人)に長期評価の扱いの研究を依頼し、その結果が出るまでは従来の手法による津波想定(5.4~5.7メートル)のままとする方針が決定され、そのまま見送られてしまった。この事実は東電経営陣の責任を追及する裁判過程でやっと公になった。
もし、このとき対策工事が行われていれば結果は違ったものになったかもしれない。
原子炉の試験を偽装した関電
運転中の原発の原子炉は、核燃料からくる放射線にさらされ続けている。特に中性子は金属材料を硬く脆(もろ)く変化させる。これを中性子照射脆化という。そのため原子炉の金属材料の靱性(じんせい、粘りのこと)をはかるための破壊靱性試験が義務付けられている。関西電力は、高浜1、2号機と美浜3号機で、規制委の規格外の試験片=WOL試験片を使って試験を行っていたことが、老朽原発40年廃炉訴訟(名古屋地裁)で明らかになっている。
WOL試験片で試験すると、規格に適合したCT試験片で試験した場合に比べて、「より大きい力に耐えられる」ことになってしまうという。関電は2021年、裁判に提出した準備書面の破壊靱性試験のイメージ図でCT試験片の図を示していた。これだけみると、「試験にはCT試験片を使っていたのだな」と誰もが思うが、実は、2016年に福井県の専門委員会に示したイメージ図で示されていたのはWOL試験片だった。
関電は、裁判所に対して、実際には使っていなかったCT試験片を図示することで、あたかも規格に適合した試験を行っていたかのように偽装したのである。
また中性子照射脆化の進み具合をみるための監視試験片のうち「破壊靭性試験片」は母材と溶接金属の2種類を毎回取り出して試験すべきところ、関電は、1回の取り出しでどちらかしか試験していないことも裁判で明らかになった。
このように電力会社のいうことは信用ならない。紙面の都合で2例だけ挙げたが、試しに「原発 データ不正」で検索してみるとゴロゴロ事例が上がってくる。このとんでもない不正が明らかになったことを機に原発廃炉の声をもっと大きくしていこう。(池内潤子)
