兵庫県の告発文書問題において、文書を作成した元西播磨県民局長(故人)の私的情報を3人の県議に漏えいした事件で、神戸地検は3月27日、地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで書類送検されていた事案に対し、不起訴とした。不起訴となったのは、井ノ本知明前総務部長、片山安孝元副知事、斎藤元彦知事の3人だ。井ノ本氏について神戸地検は、「関係者のプライバシー性の高い情報が問題となっており、これを公判で明らかにした場合の影響を慎重に考慮した。井ノ本氏が社会的制裁を受けていることなども考慮した」で「起訴猶予」とした。しかし、元西播磨県民局長のプライバシーがすでに外に漏れ、誇張された形で拡散されている状況からすれば、プライバシー保障は意味をなさない。さらに、井ノ本氏が「社会的制裁を受けている」というのも、職務復帰し、県競馬組合副管理者という役職についている状態から「社会的制裁を受けている」とは言えない。

 また、片山元副知事と斎藤知事については「秘密漏えいを命じたり、そそのかしたと認定する証拠が得られなかった」ということで「嫌疑不十分」としたのである。
 さて、知事のような権力者に対して「疑わしきは罰せず」とする検察官は、一般市民に対して「疑わしきは起訴し、犯罪抑止する」という姿勢だ。これは、法の下の平等を謳う憲法第14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」に反するのは明らかだ。広く兵庫県民に影響するという点を鑑みれば、犯罪を疑われる知事を放置することは、公共の福祉に反すると思われる。つまり、公共の福祉という点からすれば、一般市民以上に知事のように多くの人に影響を及ぼす人物に対してより厳しく対処するのが検察官の役割ではないかと、強く思う次第である。

片岡英夫(元高校教員)