
労働と生活保護の境界にたち また半値の惣菜を買う 八号坂唯一(朝日歌壇:3月29日)
資本主義の「実践」には民主主義は不要と、だれかが言った。いや、資本主義のさらなる成長には民主主義は破壊されていく、平等はいらない、差別は拡大し、破壊されるという。そうして自由は、さらに狭められていく。私たちは、日々成長し、そびえ立つ巨大な壁に四方八方塞がれている。私たちは、自らの生命を守り抜きながら、そして生き抜くために、この立ちはだかる巨大な壁を乗り越えようとする。
しかし、日常を生き抜くために、そのつど壁にぶち当たり、力及ばず敗れる。笑われている。含み笑い、冷笑、譏り笑い、嗤笑、憫笑、様々な笑いに出会う。くっくっくっ、ふっふっふっ…。つかもうとすると、するりと抜け落ち、資本の幻想に操られている。どこにも見当たらなくなる。苦しめられる。操られ、自然もエコロジーすらも商品化されてしまい、胃袋をも満足させるものではなくなった。生活において、ますます困難の克服が難しくなった。
ところが、どうだ。実現困難なことすら、自分ならできると豪語する人間があらわれた。実現できることなら何でも良い、胃袋を満たされるならナショナリズム、反グローバリズム、反移民、人種差別主義、排外主義、反共主義、反民主主義、白人至上主義、ナチズム、超国家主義、超保守主義、人種至上主義、右翼ポピュリズム、権威主義、排外主義の外国人嫌悪すら、いともなんでも簡単に認めてしまう。

この私たちが住む日本は。どうか。社会に格差や貧困、差別がこれほど拡大していても、「見ようとしない」「感じようとしない」暗闇のような時代にはいっている。
日本国憲法は、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(第25条)と定めているが、自殺者数や自殺率の増加は、国民の健康状態や生活の質が悪化していることを意味している。その背景には、労働分野の規制緩和により非正規雇用への置換えが進められ、ワーキングプアが増大したこと。その一方、もともと脆弱であった生活保護をはじめとする、社会保障制度がさらに切り縮められ、格差と貧困が拡大してきたという構造的要因がある。
民主主義が否定され、自己決定権、生きる権利という究極の基本的人権が、社会の構造的要因によって侵害され、疎外されている。民主主義が否定され、議会制が否定され、身内への利益誘導が繰り返され、政治の強権化と軽薄化が繰返され、言論の自由への弾圧、誘導する土壌が定着している。
見たくなき おのれの姿見るやうな 作り笑ひの高市早苗 北野みや子(朝日歌壇:3月29日)
昨年10月のことである。高市内閣総理大臣は、トランプに手を引かれ、アメリカ海軍航空母艦、原子力推進空母「ジョージ・ワシントン」の艦上で、米軍乗組員を背にし、トランプに飼い慣らされた子犬のごとくピョンピョンと三度も跳ね、踊ったのである。これは一体なんなのだ。このトランプへの媚び諂いは、なんだ。
対米従属の象徴「安保関連三文書」を、さらに改悪し大軍拡をすると宣言した。目指すは「国家安全保障戦略」(NSS)を、2025年度中に2%水準を前倒しで措置し、来年中の三文書改定を目指し検討を開始する」と明言した。安保法制の強硬化、防衛費の増強2%から、3.5%へ。そして上へ、上へとピョンピョン跳ね上がり5%へ、トランプへの媚びへつらいだ。ああ、これはなんだ。資本の幻想に操られている、私たちはなんだ。
普通の国になりたくなどなし 戦せぬ特別の国であり続けたし 山本昌代(朝日歌壇:3月18日)
2026年の衆議院総選挙では、台湾有事での存立危機事態をぶち上げた高市早苗首相、「高市早苗に、国家経営を託していただけるのか」、「私に委任投票をせよ」と、ナポレオンⅢ世による第二帝政樹立よろしく、ヒトラー総統就任ばりの権力の正当性を得ようと「国民信任投票」を呼びかけ、「力による支配を確保した」と思っている。
3月19日(日本時間20日)、高市早苗首相は両手を大きく拡げながら、日米首脳会談に先立ち、ホワイトハウスの玄関で出迎えたトランプ大統領とハグを交わした。高市首相のトランプ大統領への接し方は、昨年10月(ジョージワシントン艦上)同様に異様であり、恥ずかしさすら呼び起こす。たまたま一応、国家の首脳ではないか。にもかかわらず、トランプに媚を売り放題である。まことに、嫌悪感を抱かせる行為である。そう感じるのは私だけか。
トランプに「とても人気があり、力強く、偉大な女性だ」と煽てられ、高市早苗首相は言う。「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだ」と持ち上げ、「私も諸外国に働きかけ、応援したい」…。ふざけるなよ。トランプが今やっていることは何なのかよ。(嘉直)
