ウトロ平和祈念館

ウトロ地区(京都府宇治市)の木造家屋に放火し、計7棟を焼損させた 「ウトロ地区放火事件」で、京都地裁は有本匠吾被告(23)に求刑通り懲役4年の判決を言い渡した(8月30日)。弁護側、検察側双方が控訴しなかったため、判決は確定した。

祈念館でシンポジウム

ウトロ地区放火事件をめぐる京都地裁ヘイトクライム裁判の判決を受け、ウトロ民間基金財団と京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会は、9月4日、「ウトロ放火事件から見る社会からの『排除と孤立』」シンポジウムをウトロ平和祈念館で開催し、オンライン配信した。
豊福誠二・ウトロ弁護団団長が、「日本ではヘイトスピーチやヘイトクライムを規制する法がなく、刑量に考慮されてこなかった」など問題点を指摘し、京都におけるヘイト事件刑事裁判の歴史を振り返った。今回の判決の前進面とともに、人種差別に言及しなかった限界性を解説した。
 

差別許さない
     合意形成へ

金尚均・龍谷大学教授は、「裁判官が在日韓国・朝鮮人という特定の出自を持つ人々に対する偏見や悪感情等に基づく」と、ヘイトクライムの行為の背景にある動機に言及し、行為が「民主主義社会において到底許容されるものではない」と、検察側も主張していなかった点を提示したことは「評価すべき」とした。
郭辰雄・一般財団法人ウトロ民間基金財団理事長は、ヘイトクライムに対して、あいまいな態度しか取れなかった日本の司法の限界を指摘し、「被害者の声、支え見守る人たちの声があって、このような事件は『到底許されない』と踏み込んだ判決を引き出せた」とし、「人種差別、外国人差別は法的に許されない」という合意形成、規範をつくると語った。

ウトロの真実を広げるために

刑事裁判の判決確定は、事件の終わりを意味しない。判決の限界と、前進した面を理解し、ヘイトクライムを許さない運動を広げていくこと。それぞれ地域における取り組みをすすめるため、まずウトロ平和祈念館を訪れたい。
(小柳)