
本の帯に「敗戦直後の食料難時代を経て、高度成長で人が農村から都市へ流れ、環境破壊や健康破壊が顕在化し、農業基本法や減反政策などで農業が衰退してゆく。その後、農業はグローバル化の波にさらされ、遺伝子組み換えやゲノム操作など、食の安全が脅かされるようになる。一方、有機農業や消費者運動が活発になっていく。本書は、政治、経済、社会をバックに日本の農業と食がどのように変化してきたかを捉え、戦後の食と農を総括している」とある。短い文章でうまくまとめたなと思う。
農と食の工業化や遺伝子組み換え食品、ゲノム編集技術によって、私たちは知らないうちに、形は食べ物だけど中身はまるで違うものを食べさせられているのかもしれない、とこの本を読んで思った。しかし、三里塚のように無農薬有機農業と消費者を直接結ぶ産直運動があちこちで盛んになれば、少しでもこの流れに抗えるのではないだろうか。「第3章 新たな農民運動と有機農業運動の始まり」の中に、三里塚闘争についての記述もあるので、ぜひ読んでみてほしい。(民)