いのちの水
        渡辺信雄
地球の壊れる音がして 揺り動かされ
突き刺さったモノを剥がして
血をふき取り 立ち上がった
あの日から 二十九年目の正月に
津波押しよせ
ズタズタにされた能登半島
白米千枚田の 一枚一枚
たっぷり溜めた水の
一滴一滴が
いのちを繋ぐ水
ガザで逃げ惑う人たちに逃げ場無く
罪のない人々を襲う戦禍
どの神も無力で 救いの神はどこにいるのか
いのちの水を 日常を与えよ。