
政府は、4月21日の閣議と国家安全保障会議(NSC)により、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則と運用指針」を改定した。輸出の目的を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限っていた「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁した。アメリカなどを念頭に「特段の事情」がある場合は、紛争中の国への輸出を例外的に認める。戦後80年以上にわたり、平和国家として武器輸出に一定の歯止めをかけた安保政策の大転換となる。考えてほしい。日本の武器が他国の人々を殺傷し、子どもたちの命を奪い、戦争に加担することになる。許してはならない。
2014年に導入された防衛装備移転三原則は、日本が海外に武器やミサイル、防衛関連の技術などを出すときの原則をまとめたルール。1967年の武器三原則を整理して「出してよい場合」と、「絶対に出してはいけない場合」をはっきりさせたもの。第1の原則は「日本が守ると約束している国際条約や国連決議に反する国」「いま戦争や武力紛争の最中の国」である。
第2の原則は「国連PKОなど、平和維持や人道支援に役立つとき」「日本の安全保障や、日本と関係の深い国の防衛協力に役立つとき」。第3の原則は「もともと約束した目的以外には使わない」「他の国に回したり売ったりするときは、日本政府の事前の同意を必ずとる」。

この3原則は、「世界平和や日本の安全にプラスになると判断した場合に限って、例外的に出してよい」とするもの。この3原則と運用方針が一部改正され、「殺傷能力のある武器についても、一定の条件のもとで輸出を原則可能とする方向の見直し」が行なわれた。
これから武器輸出の可否は、NSCで審査することになる。審査項目としては、新たな輸出先の安保環境などを加えた。高市首相は「(平和国家としての)これまでの歩みや基本理念を堅持することに全く変わりはない」と強調しているが、「全く変わりがない」というのは詭弁でしかない。殺傷兵器の輸出は、平和国家の根幹を損なう。「
「歯止め策」として焦点となっていた国会の関与についても、NSCで武器輸出を決めた後、国会議員に通知するだけである。
共同通信社が先月実施した世論調査では、武器輸出を「認めるべきではない」が56%と半数を超え、「認めるべきだ」は36%だった。国論二分どころか、反対が大きい。国会での議論など、国民の理解を得る手順が必要なのは当然だ。輸出ルールの法制化、国会が事前チェック機能を発揮できる仕組みをつくらなければならない。
今回の改定は、憲法9条を踏みにじる大きな政策転換だ。私たちは、「戦争やめろ!」「戦争に加担するな!」「憲法を変えるな!」の声を、いま大きくしていかなければならない…。(庄)
*国家安全保障会議(NSC) 日本の外交・安全保障政策の司令塔として2013年12月に、内閣に設置された。首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣による「4大臣会合」を中核とし、迅速な情報収集・政策立案・危機管理を行なうとしている。
