▽コロナ禍、地域・市民と共に
21春闘は、08年リーマンショックを上回る雇用破壊(解雇・雇止め、休業)、生活危機が襲いかかっているなかでの取組みとなっている。また、働き方「改革」−解雇の金銭解決など、労働法制や労働環境の激変がしている。まさに労働組合の出番である。
その最中、最大のナショナルセンター連合中央は、賃上げ額も含めて「ベア要求」さえ取り下げ、労働組合という社会的機能を放棄している。労働運動の再生を探ってきたユニオン運動が、市民運動と連携して、今までの蓄積をかけて前に出ることが求められている。21春闘を労働組合の下への団結を呼びかけ、地域・市民と連帯する闘いとしよう。改憲阻止や沖縄の辺野古新基地反対の取り組みも重要な課題である。
▽非正規雇用の生活を守れ
コロナ関連解雇は、厚生労働省の調査でも、8万800人(1月14日現在)、そのうち半数が非正規雇用だ。コロナ関連の企業倒産は1万件、休廃業は2万5千件の見込みだ。自殺者は、特に40才未満の女性が増え、7月から9月の例年比は2割から4割増である。女性の半数は非正規雇用で、コロナ禍のなかで勤務時間削減、休業、失業などを集中的に強いられている。休業者数の急増が著しい。昨年4月で597万人、このうち非正規雇用は300万人である。休業が非正規雇用労働者に犠牲を集中させた。さらに正規労働者にも広がっている。正規・非正規を超えた闘いの取組みが求められている。まず、すぐそばにいる女性非正規雇用労働者の雇用と賃金を守るために闘おう。
▽大企業への強い規制を
グローバル大企業は459兆円もの内部留保をためている。「コロナ禍で苦しむ中小零細企業労働者、個人事業主の支援と生活補償費に回せ」「内部留保への法規制を」と、組合の垣根を超え、市民運動と連帯して要求しよう。コロナ禍はこうした「社会的労働運動春闘」を求めている。「内部留保規制、コロナ解雇阻止、100%休業補償、大幅賃上げ、消費税ゼロ(直ちに5%引下げ)、コロナ給付金や家賃補助、助成金などの拡充・増額を」。こうした声を大きな世論にして、いのちとくらしを守る春闘を実現しよう。
▽エッセンシャルワーカー
医療、保健、介護、物流、清掃、保育、教育部門などのエッセンシャルワーカーは、コロナ禍でも、休業もできず長時間労働、過重な労働についている。エッセンシャルワーカーへの特別の支援措置を要求しよう。行財政改革の名で予算と人員を削減してきた問題がコロナ禍で浮き彫りとなった。賃金などの増額、有資格者の職場復帰支援の整備が求められている。
▽最低賃金1500円を
年収200万円以下の「ワーキングプア」が非正規雇用を中心に1200万人、全雇用労働者の23%を占めている。2018年の1年間で102万人増加している。昨年4月以降現金給与総額は下がり続けている(毎月勤労統計調査)。
「最低賃金1500円」は、全世界の労働者の共通の要求となっている。昨年、最高裁は、非正規差別案件で5つの判決を出した。家族手当等の差別は違法であると支払いを命じたが、基本給・一時金の差別は容認された。非正規雇用差別撤廃、正社員化を求める闘いは待ったなしだ。「生活が第一」「労働3権を守れ」を春闘スローガンに。
その軸は、「最低生活保障・最低賃金1500円、8時間働いて生活できる賃金を」である。雇用保険制度の改悪で失業時の生活保障が弱化し、そのために劣悪就労が労働者に強いられてきた。失業給付額の引き上げ、給付日数の増加はただちに実施すべきである。これも春闘の課題といえる。
▽関生支部大弾圧許すな
戦後最大規模の労働組合弾圧(一組合に2年近くわたって90人の逮捕、70人以上の起訴、執行部活動家の2年近い勾留など)が進行している。関生弾圧である。労働組合の団交要求、企業の労基法違反などの摘発といった正当な活動を、「反社会的活動」と決めつけ、まるでヤクザの資金活動のようにみなして弾圧してきたのである。関生弾圧を前後して、ユニオン運動を「反社」として排除、弾圧する動きが強まっている。昨年の10・8−12・17不当判決を絶対に許してはならない。関生弾圧との闘いは、労働運動全体の今後をかけた闘いだ。強化しよう。(森川数馬)