
6月21日、美浜3号機の運転禁止を求める仮処分の申し立てがおこなわれた。福井県、京都府、滋賀県の住民9人が申し立て人になり、申し立ては大阪地裁に受理された。弁護団の共同代表は、井戸謙一弁護士と河合博之弁護士。
申し立て後、記者会見と報告集会が裁判所近くの堂島ビルディングでおこなわれ、弁護団から裁判についての説明がおこなわれた。
▼地震と避難計画
井戸弁護士は、申し立てに至るまでの経過と申し立ての概略について話した。原告団は、40年を超えた原発の起動に非常にたくさんの人が不安を感じ、様々な反対運動をしてきた。「できることはなんでもやろうと司法に訴えることになった」と経過を話し、早急に差し止めを実現するため、たくさんある問題点のうち、すでに大阪地裁、水戸地裁で画期的な判決が出ている「地震と避難計画の2点に絞った」と説明した。
「美浜原発の周辺には活断層がびっしりある」、また、「建屋の耐震性が不足している」「熊本地震のように短期間に大きな地震が連続して起きることを想定していない」「地震の大きさのバラツキを考慮せず平均値を用いている」ことなどを指摘した。
大川弁護士が、避難計画について複合災害を想定しておらず、不十分と説明した。
原告団の共同代表の一人、木原壮林さんは、「美浜原発から100キロは京都、滋賀、岐阜、愛知、兵庫など2000万の人が住む。風向きによっては100万とか200万の人たちの避難が必要になる。原発、とくに老朽原発の再稼働はあってはならない」「避難訓練をしなければならない危険な装置は原発だけ。そういう意味では国や地方自治体も危険だということは認めている」と話した。
大飯原発を止めた元裁判長の樋口さんが促されてマイクを握り、老朽原発は「絶対止めないといけない」とあいさつした。
▼稼働の実績づくり
美浜3号機は6月23日に再稼働したが、特重施設(特定重大事故等対処施設)が完成していないため、期限の2日前の10月23日には停止する。たった3カ月の運転期間だが、それでも運転するのは「40年超え原発を動かした」という実績づくりのために他ならない。2030年に老朽原発になる原発は15機。その先陣を切るためだ。
関電がいくら総点検をして安全と言っても、原発は配管が入り組んでいてとても全部見ることはできず、原子炉の中も見ることはできない。配管の一部を変えることはできても原子炉は取り換えられない。まさに「自動車で言えばエンジンが交換されないままハンドルや速度計が新しくなっただけ」。これではとうてい安全とは言えない。
(池内慶子)