
アメリカ軍第7海兵隊は、第1列島線はおろか第2列島線後方の小笠原諸島におり、自衛隊が前面にたたされる。そういう意味で辺野古新基地建設反対のたたかいは重要である。私たちも、いろいろ考えてきたが辺野古の基地建設がキーステーションになる。台湾有事が起これば、辺野古新基地建設が完成すれば、そこから軍隊が出撃していくことになる。アメリカ軍はSACO合意、96年時点で1万2000人の兵士、8000人のファミリー合わせ2万人以上が撤退することになっている。引き留めているのが日本政府だ。それは「沖縄を丸ごと自衛隊の基地にする」日本にとっての死活問題だ。
▽先島と沖縄本島
私は沖縄本島のたたかいは、間違いではないと思う。さらに、辺野古新基地建設反対闘争は強化されなければならないと考えている。ただし、そのなかに先島の軍事基地化、南西諸島の軍事基地化の視点、トータルに物事をとらえることが重要と考える。あえて追加するなら、私は先島のみなさん、宮古のみなさんは大変だなぁという思いがあり、去年の半年間、宮古に常駐しました。
沖縄本島のたたかいは、まさに血の吐くようにやっている。宮古で、石垣で、与那国でも血の吐くようなたたかいをやり、「バトル」を繰り返している沖縄本島と連帯していくことが重要だと思います。そういう視点がないと、自衛隊、日本政府に立ち向かっていくことはできない。
私は、先島に連帯したいといつも思っています。ただし、重要なことはそれぞれの島の自決と自覚、自主的なたたかいを創造することが必要です。ぜひ、沖縄本島と先島、奄美と本土を結んだ南西諸島、日本列島防衛論に抗する、たたかいをつくっていきたい。
【質疑応答から】
—オール沖縄は一点で協力する。それ以外を排除するという逆の面もあるのではないか。
山城さん
▽自衛隊問題という縛り
私は、評価すべきことは評価しなくてはならないと思う。故翁長知事は県民の宝、魂を揺さぶり続けています。ですが、翁長さんが残した腹八分、腹六分という考え方は大きなブレーキにも。翁長さんは、辺野古新基地建設反対、オスプレイ配備反対、日米地位協定の改訂の一点でまとまろうと。これが腹八分、六分の考え方。そこには自衛隊問題が入っていない。この縛りがずっとある。
沖縄県議会で与党グループが宮古、八重山の軍事基地化の問題を取り上げようとすると、県政の足を引張るので控えてと言われるらしい。社民、社大、共産の従来の革新政党はしっかりしたスタンスを持つ必要がある。言うべきは言わなければ、発信しなければならない。そうでなければ政党も県民も、黙っているような事態が進行する。島々も、それぞれが勝手に自己防衛に走るようになると、それは悲惨な状況になる。私たち運動体も努力が要るが、革新政党も見解を伝えなければならない。
▽覚醒すべきは誰か
私は、今まで以上に辺野古新基地建設反対を強化しなければならないと思っている。辺野古新基地建設が完成すれば戦争になる、辺野古新基地建設の反対が戦争を止めている。私は、運動現場からそう思っています。
アメリカと中国が正面からぶつかることはないだろう。そうなればアジア、地球の破滅だ。ただし尖閣諸島で、台湾海峡で、巡視船どうしがぶつかる。一発撃ち合うような事態がおこれば、一気に加熱する。それを理由に、憲法改悪や軍事化、対中国戦争への用意も進む。台湾有事問題で中山防衛副大臣が、「沖縄県民は覚醒せよ」とアメリカのシンクタンクとのウェブ会議で述べた。「沖縄県民は覚悟せよ」と言うことだ。冗談じゃない。覚醒すべきは誰か。沖縄を地獄に放り込みながら、もう一度地獄に放り込むのか。アメリカの戦争に、巻き込まれてはならない。
(取材、文責・小見出し/高崎庄二)