
臨時教員が学級担任に
全国の小中公の教員不足が問題となっている。(文科省21年5月調べ)
小学校は大阪で53校60人、兵庫で13校22人。中学校では大阪38校50人、兵庫32校57人の教員不足である。特別支援学級の増加や育児休業の取得、病気による休職がその理由である。その結果、臨時的任用教員が学級担任を任された。
小中学校の臨時的任用教員による学級担任は現在、全国で4万1千人余り。全体の1割にも上る。臨時的任用教員を定足数の調整として扱い、本採用にしないあり方にも問題がある。
勤務時間外でも電話等の対応が必要な学級担任を、継続雇用や昇給の面で不確定な臨時的任用教員に当てるのは不適切である。任せざるを得ない学校現場の実態が、その苦境を物語っている。学級担任を任せられた本人も困惑しているに違いない。しかし職場の事情は理解できるし、立場も弱い。断わりきれないのが実態である。
私の経験では、過去10年間で同僚3人が精神的に追い込まれ、病気休暇に。うち2人は復帰できず退職した。いずれのケースも年度内に代替教員が見つからず、学級担任や教科の授業を職場内で割り振った。結果、ただでさえ手一杯の仕事がますます回らなくなり職場全体が疲弊した。
最近、管理職から「理科の教員を探している」と電話を受けた。「登録名簿をすべて当たってみたが来てくれる人がなくて困っている。誰かいないだろうか」と言う。退職した知り合い数人を知らせたが、再任用をしなかった人ばかり。「無理だろうな」と思った。
「教育旅行」の実態
私が住む兵庫県・淡路島では、パソナによる教育界進出の問題がある。パソナが花博(淡路)の跡地74ヘクタールを27億円(坪1・2万円!)で買い取り、25年にホテルやレストラン、パソナ新オフィスをオープンさせると報道があった。パソナによる淡路島の侵食や人材派遣の実態は、「パソナ 淡路島」で検索すると詳しくわかる。
注目してほしいのは、パソナグループの「教育旅行プログラム」だ。淡路島で遊び体験やSDGsの研修、地方創生を学ぶセミナー、レストランでのテーブルマナーをプラン化し、児童生徒たちに教育研修旅行を呼びかけている。
体験型SDGsは半日(3時間)で3500円、1日(5時間)で6000円。セミナー、フィールドツアー、体験ワークで半日。グループワークと振り返りを含めると1日のコースになる。
体験ワークとは「農業体験」として農作業を手伝わせるもの。「地方創生を学ぶ」セミナープランは、60分のスライド(パソナの淡路島での取り組み事例と称する自社宣伝)が1100円。廃校活用をテーマに話し合わせるワークショップが60分1100円、食事代は1650円から。テーブルマナーはパソナが開発したレストランで1人4800円から。
「教育旅行に淡路島へ」というが、教育と子どもたちを食いものにしているとしか思えない。
(安芸一夫)