昨年2月に始まったロシア・プーチンによるウクライナ軍事侵攻は、ウクライナの反撃とNATO諸国の軍事支援により戦争は泥沼化し、毎日のように子ども・市民が殺されている。核戦争へも紙一重の状態だ。
戦争による物価、エネルギー価格の高騰など、世界の人びとが貧困、恐怖、飢餓に陥っている。岸田政権は、軍備増強、敵基地攻撃論、増税に走り、安保3文書を国会審議もせず閣議決定した。「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」で先制攻撃も辞さない。軍事費を2倍化して、5年間で総額43兆円に増強する。「財源は増税で確保」と言い、それが「国民自らの責任」と繰り返す。戦後の安全保障政策を大転換する安保3文書を撤回させなければならない。また日本政府が平和への努力を放棄することを許さず、ウクライナ戦争の1日も早い終結に向けて行動しよう。

実質賃金の下落

昨年11月の実質賃金が3・8%減と発表された。12月の物価上昇率は4%、食料品7・4%、電気代33・3%と40年ぶりの物価高騰になった。人びとは、とりわけ非正規雇用、低賃金労働者は生存の危機に置かれている。
フランスでは年金支給の繰り下げ改悪案に、112万人がデモに起ち上がった。日本では年金支給を70歳に引き上げる議論が平然と行われている。労働運動の低迷が、事態の一因だ。「非正規春闘」は一律10%賃上げを要求している。
年末年始、食糧配布や炊き出し、相談会が全国各地でとり組まれたが、物価高、低賃金、コロナ感染拡大の影響が外国人労働者や非正規雇用の女性を直撃していることがあきらかになった。
日本の最低賃金は生活できる「最低生存水準」を下回っており、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最悪のレベルだ。パートタイム労働者の賃金は、日本以外のOECD加盟国が正社員の60%以上で、90%を超えている国もあるのに対して、日本は50%以下だ。米ニューヨーク州やカリフォルニア州ではファストフードで働く労働者の最低賃金15ドル(1650円/時間)を実現した。ろうそく革命後の韓国は、16・4%アップさせた。

日本の最低賃金

日本の最低賃金は、東京1072円、大阪1023円、兵庫960円、全国平均961円。8時間×22日=16万9136円(月)である。最賃すれすれの労働者は1千万人以上。「8時間働いて生活できる賃金をよこせ、最低賃金を直ちに時給1500円に」は譲れない要求だ。その実現のためには市民運動・社会運動と連携した「社会的最賃闘争」が求められる。

40%近い非正規雇用

パートやアルバイト、契約社員や派遣など、非正規雇用労働者は全労働者の40%近く。女性では47・8%、若者は3人に1人が非正規雇用。第二次安倍政権時に急激に悪化した。非正規雇用の賃金は正社員の5~6割。いつ「雇止め解雇」されるかわからない無権利状態にある。
22年の日本の長者番付トップはファーストリテイリング社長兼会長の柳井正。保有する資産は3兆680億円(フォーブス誌)。貧困が深刻化する中で、巨額の富の独占は正当化されない。
累進課税の強化は急務だ。1975年の高額所得者の最高税率は93%(所得税75%+住民税18%)。2015年は55%(所得税45%+住民税10%)に下がった。税収のトップは所得税ではなく、低所得者に重い消費税だ。この年、「貯蓄ゼロ」の世帯は1800万世帯に急増し、全世帯数の3割に上った。政権が富裕層に手厚い政策をとっていることが一目瞭然だ。(本紙編集委員会まとめ)