夢洲カジノ整備計画を批判する高橋敏信弁護士=4月29日、大阪市

4月29日、「夢洲カジノ区域整備計画認定審査結果報告書」について弁護士の高橋敏信さんから話を聞く機会があった。

不透明な判断基準

整備計画の認定を受けるためには「要求基準」を満たさなければならない。これについては国土交通省が判断するのだが、要求基準該当性をどう判断したのかは明らかにされず、極めて不透明なのだ。
今回の審査結果報告書では、「整備計画が優れたものかどうか」を判断する「評価基準」による評価しか書かれていない。
要求基準をクリアした上で評価基準によって、「優れた計画」の評価が出て認定となるはずだ。その要求基準が不透明なので、この整備計画書が「認定を受ける資格があるのかどうか」がまったく分からないのだ。
評価基準の評価が600点以上という合格ラインも事前に公表されていなかった。これでは後出しで認定されたと思われても仕方がない。ちなみに満点は1000点。
審査委員会のメンバーは経済学の教授が4人、建築学1人、観光学1人、依存症関係の病院長が1人という構成。そこに地盤工学教授2人、津波高潮の防災教授1人が22年10月から加わった。カジノ反対運動の成果だ。

低評価

評価基準は25項目をSABCDEの6段階で評価する。各項目に10点から150点の配点があり、評価に応じて配点に100~0%を掛けて採点される。SからCまでは「極めて」とか「非常に」とか「やや」とかが付くがみんな「優れている」と評価される。下から2番目のD評価でも「わずかに優れている」なのだ。E評価でやっと「優れているとは認められない」(配点×0%)になる。「どれだけ認定したかってん!」とツッコミを入れたくなった。
認定時期についても疑問があると高橋弁護士は言う。なぜ大阪知事・市長のダブル選直後の認定だったのか。問題山積の計画なのに、あわててやったとしか思えない。4月7日に審査委員会の報告書がまとめられたと思われるが、国土交通省として独自に検討していない。不十分な資料と認めつつ、これをもとに判断していいのか。

国交省の無責任ぶり

それにしても、合格ライン(600点)にたいして657・9点は低水準。例えば観光への効果は得点率58・6%。審査報告書にはこう書かれている。
「広く市場動向の分析や他の近隣類似施設の存在を十分意識した需要競合の整理、日本・世界規模で見た場合に大阪が有する相対的な競争力の織り込みについてはほとんど分析が見られず、推計値の妥当性に関し十分な評価を行う材料には欠ける面がある」
観光を売りにしているはずだが、その面の分析がほとんどないという。要するに「まるでダメ」ということではないか。
こんなんでよう認定したな! (堀ちえこ)