『沖縄・米兵による女性への性犯罪 第13版』65ページ

沖縄の女性たちの手による『沖縄・米兵による女性への性犯罪』第13版が今年4月発行された。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」は、1995年に起きた米兵3人による少女レイプ事件を契機に「もう絶対に沈黙しない」という固い決意で発足した。翌年、沖縄での米兵犯罪を訴えるアメリカでのピース・キャラバンに際し、その実態を知らせる資料として作成したのが第1版6頁だった。琉球政府・米軍資料、新聞、書籍、歴史資料などあらゆる記録を掘り起こし、証言を集め、版を重ねるごとに頁が増え、2016年の12版は27頁、記載件数は400件余になった。今回の13版は69頁、1000件、約2・5倍になった。7年間で増えたのではなく、これまで表に出てこなかった事例(米軍占領初期のものも含め)を丹念に調べることで増えたのだという。性暴力被害は実際の4分の1以下しか表面化しないといわれる。実際にはこの何倍、あるいは何十倍もの被害があったことは想像に難くない。何の飾り気もない「報告書」の体裁のこの冊子(写真上)。頁を開くと1945年3月26日の米軍上陸の日から2021年までの年表が続く。項目は年月日と、事項、処罰の方法、出典のみ。事項の記述のむごさに凍り付く。処罰の欄には45年から長い間「不明」が並ぶ。年を経て少しずつ検挙される例もあるが、結局「日米地位協定」によって裁判権を奪われ、うやむやになっている事例も多く見ることができる。
冊子に特に「解説」はない。読む者に「直視し、自ら考え、行動せよ」と問うているのではないか。沖縄戦は終わっていない。そして、軍隊による平時も含めた性暴力は、世界中で今も起きている。(新田蕗子)