4500人が参加した輝け! 憲法 おおさか総がかり集会=5月3日、大阪市北区扇町公園

 憲法記念日の5月3日、大阪市北区の扇町公園で開かれた「輝け憲法! 平和といのちと人権を! おおさか総がかり集会」には、例年を上回る4500人が参加した。集会では、メインスピーチを元文科省事務次官の前川喜平さんが行った。また京都祝園の陸上自衛隊弾薬庫への長射程ミサイル配備に反対する市民、スパイ防止法に反対する弁護士、最低賃金引き上げを訴える労働組合が発言。共産党、社民党、れいわ新選組、立憲民主党の代表が決意表明を行った。集会後、参加者は大阪市内を二つのコースに別れてデモ行進し、沿道の市民に「高市政権の改憲許すな」「憲法9条を守ろう」と訴えた。
 前川喜平さんと大阪労働者弁護団の谷次郎弁護士の発言要旨を紹介する。(深田)

前川喜平さん

憲法9条は人類の宝 戦争違法化の最先端
元文部科学省事務次官 前川喜平さん
憲法改正を主張する人は「新しい時代だから新しい憲法を」と言うが、彼らが考えているのは80年以上前の大日本帝国に戻ろうとするアナクロニズムです。憲法99条には憲法遵守義務を明記しているが、これを守っている国会議員は少数になり、今や衆議院の3分の2が「憲法改正だ。憲法改正だ」と言っているが、それは「改正」ではなく「改悪」です。
日本国憲法の前文を高市さんは「おめでたいことが書いてある」、安倍晋三さんは「みっともない憲法」と言ったが、日本国憲法は日本の宝であり人類の宝です。憲法ができた背景は第二次大戦です。この戦争でアジアでは2000万人以上が日本によって殺され、日本人も軍部によって300万人以上が殺された。憲法はそういう戦争の経験を踏まえて、戦争を違法化するという人類の努力の最先端として作られました。
第一次世界大戦後、戦争違法化の運動の延長線上に世界連盟が作られ、1928年のパリ不戦条約も結ばれた。そして第二次大戦の大惨事を経て国際連合憲章ができた。武力による威嚇または武力の行使をしないと国連憲章第2条第4項に書いていますが、日本国憲法9条1項はいち早く戦争違法化という人類の目標を取り入れたのです。9条2項の「戦力不保持」は 国際連合憲章にもないまさに最先端の条文です。
1946年1月、当時首相の幣原喜十郎がマッカーサーに提案したのが9条1項、2項の「戦争放棄」と「戦力不保持」でした。幣原は第一次世界大戦後の平和外交、国際協調外交に懸命に努力した人で、「軍部」は日本を滅ぼすものだと骨身にしみて知っていた。軍部による悲劇を一番よく知っている日本人の手によって二度と戦争しない国にするという願いが込められた条文です。また9条冒頭の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という言葉は、衆議院憲法改正小委員会で日本社会党の鈴木義男が提案したものです。このように9条の条文には日本人の手による言葉が入っており、けっしてGHQやアメリカの押し付けではない。
ある雑誌によれば、高市さんはトランプの求めに応じてホルムズ海峡に自衛隊を派遣するつもりだったそうです。それを押しとどめたのは9条だった。9条が生きた瞬間だと思う。戦争がなくなったら困るのは三菱重工、川崎重工、ロッキード・マーチンなど軍需産業、「死の商人」たちであり、彼らからお金をもらっている米日の政治家たちだ。いま日本では軍事産業を成長産業と位置づけ、殺傷兵器を世界に売り込もうとしている。私は本当に心配しています。最近はなりふり構わずデモに参加しています。何としても憲法改悪を阻止し、高市政権を打倒しよう。

谷次郎弁護士

国家が市民を監視 体制批判を封じ込め
大阪労働者弁護団 谷次郎弁護士
自民党と日本維新の会は連立政権合意においてインテリジェンス すなわち情報収集・分析機能の強化とスパイ防止法の制定を打ち出しました。これは、国家が国民を監視する監視社会体制を作り上げるという極めて危険な布石です。先月4月23日、この合意を具現化する 国家情報会議設置法案が与野党の賛成多数で衆議院を通過しました。法案の可決に際して、市民団体やデモ活動は調査対象外にする。目的外の個人情報の利用はしないという付帯決議がつけられましたが、付帯決議には法的拘束力はない。むしろ、付帯決議を付けざるを得なかったのは、市民のプライバシーや正当な政治活動が監視の標的にされる危険性が極めて高いことを自白しているようなものです。政府から完全に独立した第三者の監視機関が存在しないまま、巨大な情報機関の権限だけが肥大化すれば、誰が監視対象にされるかということが、権力の胸先三寸で決まってしまいます。
岐阜県で起きた大垣警察署の市民監視事件を思い出してください。この事件は 風力発電所の建設に反対し、勉強会を開いていた平穏な市民活動に対して、警察が個人情報を執拗に収集し、それを事業者である中電の関連会社に漏洩していました。この事件は、名古屋高裁が違法と明確に断罪しています。他にも、仙台における自衛隊情報保全隊の市民監視事件など、 国家権力による市民監視の例は数多く存在しています。国家権力が自らの意に沿わない正当な市民活動を敵視、監視し、弾圧したという厳然なる事実があるのです。「一般市民は対象にならない」という総理の口約束など、国民の権利を守る何の歯止めにもならない。
安全保障やスパイ防止という名のもとに、憲法13条に基づくプライバシー権、21条に基づく表現の自由、結社の自由を根底から覆す権力による市民監視の暴行を許せば、社会に強烈な萎縮効果が生まれ、誰も体制に批判的な声を上げられない社会へと突き進んでしまいます。また、スパイ防止という考えは、容易に排外主義的な動きと結合します。ミサイル基地の強化や殺傷兵器輸出解禁といった軍事力強化政策の進行を考えると、この先に戦争という現実的な脅威を感じざるを得ません。
法案は参議院の審議に舞台を移しています。集会参加の野党の皆さん、どうか参議院において、この法案の持つ危険性を徹底的に追求してください。そして私たち市民も決して黙ってはいけません。監視社会を許さない。スパイ防止法はいらない。その声をここ大阪からさらに大きく広げていきましょう。