
伊方原発運転差止広島裁判本訴の口頭弁論期日(第22回)が行なわれた(3月24日)。
「福島原発事故後10年 これから日本を覆うセシウム137の内部被曝被害」と大書された横断幕を持ち、原告、弁護団、支援者らが広島地裁へ乗り込み行進。
法廷では、原告側は「SA(シビアアクシデント)対策」(重大事故対策に関する被告側四国電力の反論に対する再反論)及び「火山」(火山問題に関する被告反論に関する再反論及び補充)の2通の準備書面を裁判所に提出した。被告の四国電力側は、準備書面「1号機及び2号機について」をようやく提出。
原告の嶋末和子(しまずえかずこ)さんが意見陳述を行なった。嶋末さんは、広島原爆被爆2世であること、家族・親戚2人が被爆死し、被爆者健康手帳を所持している2人の家族・親戚がいることを明らかにし、「大量の死の灰を生み出すという点では原爆も原発も全く同じ」「死の灰を大量に生み出す伊方原発の運転を差し止めるべき」と訴えた。
その後、広島弁護士会館で記者会見・報告会がリモート参加も含め開催され、弁護団から準備書面の解説、原告意見陳述の再現、質疑応答などが行なわれた。今後、5月13日に伊方広島裁判新規仮処分第4回審尋、5月26日に福島原発事故避難者の福島原発ひろしま訴訟、6月2日には第23回本訴期日の予定。
福島原発事故発生から10年。事故では燃料の核分裂から生じたさまざまな放射性物質、いわゆる「死の灰」が環境中に大量に放出された。全原発の運転停止、廃炉は裁判によってのみ可能なわけではない。裁判闘争の勝利のためにも、広範な反原発運動の広がりと核兵器廃絶の運動と結合した反戦・反核運動の高まりが求められる。
(江田 宏)