
「表現の不自由展KOBE」が、9月10日、11日神戸で開かれた。半年以上にわたり中心になって呼びかけた人たちと市民運動が合流し実行委員会がつくられ、70人を超えるスタッフ、何人もの弁護士に参加してもらった。会場も妨害に屈しなかった。多くの力により開催までこぎつけられた。会場入口のスタッフとして感想を述べる。
東京・名古屋・大阪・京都に続き、初めての神戸開催に760人の参加があり、本当に嬉しい。多くの献身的な連携、各地の教訓が活かされての成功だと思う。
会場外にいたため、ゆっくり作品を見られなかった。何人かの人に感想、意見を聞いた。「平和の少女像の横に座らせてもらった。胸に迫り、痛み、ゆっくり座ることができなかった」「丸木位里・俊さんの『ピカドン』。1950年に出版という手づくりに近い絵本。数頁の展示だが真実に迫る」「梅雨空に九条守れの女性デモ~秀句とされながら公民館だよりから排除された。2014年のこと」「反戦、反帝の旗に見入った」。侵害されてきた表現が、人を激しく揺さぶっている。
日本軍「慰安婦」問題や天皇の戦争責任等をめぐる表現の自由が、右翼・ヘイト・民族排外主義者らによる激しい妨害や脅迫に侵害されてきた。安倍政権から「報道の自由度ランキング」が一気に31位ダウン、179カ国中53位に。16年には72位に転落した事態と軌を一にしている。2001年、安倍晋三内閣官房副長官(当時)が、「NHK従軍慰安婦報道」改ざん事件を主導した記憶も新しい。安倍による政治の独裁、民主主義の破壊、戦争国家政治が根本にある。
会場周辺でヘイト集団の「訴え」を初めて聞いた。彼らは歴史修正主義者として「慰安婦」問題を否定し、差別的な言辞をまきちらし、昭和天皇の写真を使ったコラージュや「燃やす」動画に、より激烈に反応する。ただしその主張には一貫性がなく、矛盾だらけだ。レイシズムが市民に通用しないことへの「苛立ち」のようなものさえ感じる。
道の向こうには、「表現の不自由展に反対する会」「桜チャンネル」「新党くにもり」のノボリが見えた。新党くにもりは明白なヘイト集団であると認識した。 (啓)