
はじめに渕本稔・部落解放同盟兵庫県連委員長が「議員連盟が法務省・検察に3度も法案を書き直させた」など国会攻防の状況を話し、1日も早い狭山第4次再審実現を訴えた(9月23日、神戸市内)。「日野町事件」(滋賀県)で獄死した阪原弘さん長男の弘次さんが、そのあらましをパワーポイントで紹介した。狭山事件のビデオ上映後、石川早智子さんが訴えた。
阪原さんは、「死後再審はたとえ勝っても、喜び合えない」と死後再審の辛さを語り、石川早智子さんは、石川一雄さんの短歌を紹介し、一雄さんが死ぬ最後まで懸命に頑張り抜いたことを語った。「私が小鳥(うぐいす)縦横無尽に飛んでいく、えん罪訴え支援のお願い」「次の世も、生まれし我はこのムラに兄弟姉妹と差別根絶」

嘘の自白、強いられる
トークセッションでは、阪原さんが、「父ちゃん殴られてもやった言わんかった、娘の嫁ぎ先ガタガタにしてやろかと言われ、(ウソの)自白した」「お前たちだけは信じてくれ」と言われたこと。また「24年間の獄中生活で帰ってきたのは、ミカン2つだけ」「父ちゃんの人生、なんやったんや」と無念の思いを訴えた。
早智子さんは、第3次再審に19年かかり、10人の裁判官が代わるたびに入口に戻された悔しさを語った。「自分も79歳を迎え、後がない。何としても一雄さんの無念を晴らしたい」と震える声で訴えた。「耳が悪く、質問と違うかも」と笑いを誘う場面も。さらに、袴田事件で検察が出してきたズボンの写真は白黒。証拠開示で出してきたカラー写真を見た支援者は、「これはおかしい」と気づいたが、再審法の「目的外使用禁止」だ、「それもできない改悪だ」と訴えた。

再審求め署名を叩きつけ
阪原さんは、村山弁護士(静岡地裁で袴田事件の再審開始決定を出した裁判官)は、現役大阪高裁時代に日野町事件の第1次再審で棄却決定を出した、永井秀典裁判官が再び、再審判事になりそうになったとき、「前にかかわった裁判官が、同じ事件に戻ったら、あかんやろ!」と抗議し、長官の机に裁判所門前で撒いていたビラ、日野町事件の再審を求める署名を叩きつけ、「これが民意や!」と抗議し、刑事2部から刑事3部に変更させた。また、長官の机に詰まれた署名簿を見た裁判官は、それを無視できないと言った。「だから、みなさんの署名や声の力が、本当に大切です」と訴えた。
会場から、3人が発言した。甲山事件冤罪被害者の山田悦子さんは、「日本の司法に推定無罪の原則はなく、推定有罪司法であり、人権は気持ち(善意)では実現できない。法として確定するのが国際人権規約等の考え方」と、法理論の大切さを訴えた。日野町事件の無罪を求める兵庫の会会長の樋口房義さんは、「日弁連の小林会長が麻生氏に話しを持ちこみ、議員連388人の結集となったが、法務省・検察庁が大きく立ちはだかった状況を話し、日野町事件支援の歌を披露した。
つながる「推定無罪」の声
部落解放同盟兵庫県連・狭山闘争本部長の山田哲生さんは、「これらの冤罪事件は、警察・検察の間違いではない、犯人を作り出しても捕まえるという、司法の面子を守るためだ」と訴えた。最後に、早智子さんの(難聴)通訳の方が、「若い人に訴えるのに、どうしたらよいのか」と投げかけた。山田さんは「最後は気持ち。人間と人間の気持ちで訴えたら分かってもらえるのと違うでしょうか」と発言し、拍手が上がった。
狭山事件のみならず、袴田事件、日野町事件、その他、数々の冤罪事件の当該が一致協力し、日本の有罪司法と全力でぶつかっている力が、国会での攻防を動かしていること、確かに情勢が動いていることを、力強く感じた。
会場に、戦争トラウマでテレビのドキュメンタリーに出ていた藤岡美千代さんの姿を見かけた。「ああ、また一つつながったか」 (啓)
