
6月末、淡路島(兵庫県)の住民には驚くべきニュースがあった。関西、大阪そして神戸の3空港を話し合う「関西3空港懇談会」で、関西、神戸両空港の発着枠拡大で淡路島上空の飛行ルートを増便させる案を国交省が提示したのだ。
2030年を目途に、神戸空港の国際化で1日80回を160回へと倍増、関西空港は年間23万回を30万回に増便させるというもの。そのため飛行ルートを増やし、低高度で飛ばすという。これは関西空港(関空)がなぜ陸地から5キロ沖に作られたのかという経緯を無視する計画だ。大阪空港では騒音に悩む周辺住民が訴えた裁判が4大公害裁判の一つに数えられた。その結果深夜早朝の飛行制限が今も続いている。
関空は24時間空港として使われているが、「努めて海上を飛行し、低高度で陸地(淡路島)上空を飛行しない」ことが、関空と神戸空港の開港時に約束として明文化されている。
関空は淡路島に岩屋、釜口、中川原、福良の4つの騒音測定局を設置し、飛行情報と合わせて騒音データを淡路、洲本、南あわじの島内3市に提供している。神戸空港開港の1年前に結成された住民団体「淡路の空を守る会」では、これら4局の騒音データを淡路市経由で入手し、各月ごとにグラフ化し、チェックしている。それを見ると、明石海峡を望む岩屋局では、深夜早朝に関空便の大きな騒音を記録している。他の3局でも生活時間帯の飛行便が約束のレベルを超える騒音を頻繁に記録している。
飛行高度を下げると騒音は大きくなる。便数が増えると騒音の回数が増える。飛行制限が行われている現状でも約束違反の騒音があるのに、ほぼ制限なしで飛ばせばどうなるか。島内のいたるところで騒音がひどくなるのは確実だ。増便計画は、淡路島に住む住民のことを全く考えていない。
淡路島は都会と違って、古くは「御食国」(みけつくに)と言われ、今も自然の中で生活する静かな環境に特徴があり、過疎と高齢化が進むが、3市合わせて人口12万人が住む。
8月に入って淡路の空を守る会が呼びかけた意見交換会には、島内3市の職員や市会議員など30人が集まり、それぞれ心配や懸念が表明された。増便計画は中止すべきである。 (奥山 至)
