
憲法改悪に突き進む高市政権とどのように対決していくのか。それをテーマにした講演会が4月26日、大阪市内で開かれた。講師は大阪大学招へい教授でドイツ政治と平和研究が専門の木戸衛一さん。
講演の冒頭で引用されたのが、「狂気(ママ)は個人にあっては希有なことである。しかし、集団・党派・民族・時代にあっては通例である」(『善悪の彼岸』)というニーチェの警句だった。まさに今日の世界を特徴づけているのは「政治の野蛮化」なのである。グローバル資本主義による格差拡大と貧困の深刻化する中で時代精神が極右に向かっている。それは端的に言えば「強い者が勝てばよい」というイデオロギーだが、客観的に見れば圧倒的多数は敗者にならざるを得ない。そこで用意されているのが集団的ナルシシズムだ。「低学歴・低所得で生活はカツカツかもしれないが、それでもあなたは優秀な大和民族の一員だ」というわけである。それと裏腹で、「こんな世の中はどうなっても構わない」というサディスティックな破壊欲求によって、あたかも自分が解放され正義を貫いているような気分が広がり、「民主的ファシズム」という状況が生み出されている。
こうした中で世界的に民主主義の減退と軍事化が進行している。いま民主主義国家で暮らしているのは世界人口の26%、4分の1でしかない。米・中・露が世界を支配する「ヤルタ2.0」が取り沙汰されているが、実際にこの3国で世界の軍事費の53.7%を占めている。
こうした「力の支配」が前面化する中で各国は軍拡を進めている。それがどのような結果をもたらすのか。1816年から1965年までの150年間の大国同士のいさかいを分析すると、お互いに軍拡競争をしていた28例では、23例が実際に戦争に突入していた。一方、いさかいはあったが軍拡競争をしていなかった71例で戦争になったのはわずか3例だった。「備えあれば憂いなし」ではなくて「備えがあれば憂いが増す」のである。
それでは「アメリカべったり」で軍拡路線を突き進む高市政権とどのように対決していけばいいのか。会場での質疑応答の中で木戸さんは「いま国会前に多くの若い人たちが自らの意思で国会前など様々な場所で行われているスタンディングに足を運んでいる。彼らの『戦争で命を失いたくない』『私は私の人生を生きていきたい』という思いを汲み取り、一人ひとりの『生』が尊重される方向性を強くしていきたい」と話した。そうした政治の方向性とはどのようなものか。それは「誰かに勝つとか、誰かを上回るといった男性原理とは異なった政治社会を目指すことではないか」という。
木戸さんの講演のあと、OSAKA木曜スタンディングの新井信芳さんと南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会の根本博がアピールを行った。終了後、JR天満駅前で「高市改憲に反対するスタンディング」を参加者で行った。(香月)
