「第9回狭山事件の再審を実現しよう 市民のつどいin関西」が開かれ、380人が集まった(2月24日、大阪市内)。
袈裟丸朝子さん(部落解放同盟大阪府連合会書記次長)があいさつ、記念講演は上川多美さん(BURAKU HERITAGE運営メンバー)、上川さんと山田哲生さん(部落解放同盟兵庫県連合会・狭山闘争本部長)が対談した。
石川一雄さんと石川早智子さん、袴田ひで子さん(清水こがね味噌事件冤罪被害者家族)、林真須美さんの長男(和歌山カレー事件冤罪被害者家族)がビデオで、青木恵子さん(東住吉事件冤罪被害者)、西山美香さん(湖東記念病院事件冤罪被害者)が会場で冤罪をアピールした。
菊池事件弁護団の徳田靖之さん(弁護士)が特別アピールを行ない。大石あきこさん(れいわ新選組共同代表)、大椿ゆうこさん(社民党副党首)からアピールがあった。カオリンズさん、アカリトバリさんの歌、集会後はパレードで「狭山事件の再審」「再審法の改正」「1日も早く実現しよう」と沿道に訴えた。
上川多美さんは、関西の被差別部落出身の両親と、部落ではない東京の地域で生まれ育った。「わたし」から始まる「部落」の情報サイト、BURAKU HERITAGE運営メンバーの一人で、現代の「見えづらい」部落問題について発信している。同サイトは、「部落」に関わるさまざまな立場のメンバーが集い、活動している有志グループ。それぞれの経験や感覚にもとづき自分自身の言葉で「部落」にまつわる思いや考え、課題意識などを表現し発信することを大切にしている。上川さんは、次のように話した。

「マジョリティ特権」を問う
――部落差別について嫌というほど聞かされる「素朴な疑問」「知らなければ差別しようがない。だから教えなくてもよくない?」のか。しかし、知らないからこそしてしまう差別、知らなくてもできる差別がある。マジョリティの特権、マジョリティ側にいることで努力しなくても得ることのできる優位性。単に数の多い少ないではない。そして誰もが、マジョリティ性とマイノリティ性を持っている。
石川准著『見えるものと見えないもの』で書いているように、「すでに配慮されている人々と、いまだに配慮されていない人々」がいる。多数者の配慮は当然のこととされ、配慮とはいわない。対照的に少数者への配慮は、特別なこととして可視化される。マジョリティ特権は、社会がつくりだしている。すべての人が配慮される社会なら、特権もなくなる。社会の中で優位な立場であるマジョリティ側が動くことが、社会は変わりやすい。マジョリティ特権について知っていて欲しいこと。マジョリティ特権を持ったまま、何もしないことが差別を温存している社会に加担する。知らないからこそしてしまう差別と、知らなくてもできてしまう差別の一つとして部落問題がある。

差別なくす責任、マジョリティにある
部落問題において、マイノリティは「部落に住んでいる、過去に住んでいた人たち・部落にルーツがある人たち、部落の人だとみなされた人たち」など。マジョリティはそれ以外の人たち。マジョリティの人たちが関心をもたず、学ばず、解決のために動かないことで、部落差別は再生産され続けている。部落差別をなくすための責任は、ほんらいマジョリティ側にある。
狭山事件について、石川さんを逮捕したのは警察であり、それを下支えしたのは部落差別を温存し続けた社会。再審を決定しないのは裁判所であり、それを許しているのは、この問題に興味を持たず動かず、無視し続けているマジョリティたち。
狭山事件の再審が実現しない問題には、この社会を構成している私たち1人ひとりはマジョリティ側として当事者であること、それを押さえなければならない――。
司会者、上川さん、山田さんが「それぞれが30代、40代、50代になって子どもたちに、どう部落差別を伝えていくのかと考えている」「私たちの世代は、面と向かって部落差別を受けたことがない。だから、部落差別はないのではない」「現実にある差別と向き合って生きていかなければならない」などと対談した。
上川さんは、「差別がある社会の中で、自分がどの立場にいて何をするべきなのか、それを考えて実践していくための物差しがマジョリティ特権なのだと思う。その問題に関係ないという人はいない。マイクロアグレッションという概念がある。見えないくらい細かい形で生活の中に紛れ込んでいる、差別や偏見のことを指し、加害者側は自分が差別をしていると認識していないことが多い。そして、被害を受けた側が説明を求められる。相手に理解してもらえるかわからないのに。辛さを辛さとして、そのまま受け取ってもらえないことの苦しさがマイノリティにはある。自己責任ではないということ。「部落差別とたたかっていくうえで、自らが楽しんでいかなければならない。子どものころ、狭山闘争へ親に連れられて参加していた。差別糾弾ということがわからず、キャベツ反対と言っていた。がんばりましょう」と話した。

狭山と再審法制定に全力あげる
石川一雄さんが、ビデオメッセージで「今年こそ再審開始に向けて、事実調べと鑑定人尋問をしてほしい。みなさんのお力、支援を」と呼びかけた。石川早智子さんは、「一雄は耳も目も、膝も悪くなっている。生きて無罪を勝ち取りたい。心からの支援を」と訴えた。3月には「東京高裁、検察、弁護団」の三者協議が開かれる。
国会・法制審議会では、超党派で再審法の改正が諮問されている。狭山事件の再審に向け、それぞれが取りくみを強めるときだ。(庄)