
大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」に反対して、約30の市民団体による「大阪市廃止をとめよう市民ネット」が、8月17日、大阪市内でスタートアップ集会を開いた。集会には約200人が参加した。
現在大阪では、大阪市廃止の「制度設計や協定書」の作成を議論する法定協議会が行われており、8月7日の第5回法定協で新たに導入する特別区の数を4つとする案が決定した。この法定協は大阪府知事・市長、大阪府議・市議の20人で構成されるが、自民や公明など大阪市廃止に反対する他会派が参加していないため、メンバーは維新だけだ。
法定協に道理も正当性もない
この日の集会で主催者あいさつを行った弁護士の梅田章二さんは、「2度の住民投票で大阪市民は大阪市の廃止は認めない、大阪市廃止NOという意事表示をしている。民意に政治家は従わなければならない。ここにトコトンこだわって、大阪市廃止を止めるための闘いを始めたい」と発言した。
大阪府議の野々上愛さんは、「維新だけでやっている法定協には道理も正当性もない」と批判。副首都に関連して大阪府議会では「基礎自治体の機能強化に関する調査特別委員会」が行われているが、「基礎自治体のために大阪府が頑張ってくれる委員会と思いきや、副首都・大阪のために府内の市町村は自立するために合併しろという議論が始まっている」のだという。野々上さんは、「民主主義を無視して知事のもとに権限を集中させる」のが副首都であり都構想だと強調した。
危機的な大阪市のインフラ
「大阪市は介護保険料、国保料が日本一高いが、大阪市が廃止されて特別区になれば、財源が奪われるので、さらに値上がりする」と話したのは大阪市議の井上ひろしさん。「大阪市では、公園の止まった時計や、汚いトイレが改修されないまま。ゴミ処理もできなくて、堺市にゴミを焼却してもらっている。(6月の大雨で)住之江区の抽水所(雨水排水施設)が水没、水道管が破裂(8月13日、都島区)」と大阪市のインフラの危機的状況を指摘。「本当に必要な公共の役割を投げ捨ててきた結果」だと維新市政を批判した。そして「大阪市は3000億円も財政調整基金をためておきながら、物価高対策のために使っていない。全く市民の生活に寄り添っていない。大阪市廃止どころではない、大阪市をもっと活かすべきだ」と訴えた。
「ここ1~2年で維新の支持率は25%もの支持を失っている」と指摘したのはジャーナリストの西谷文和さん。「これは維新がやった世論調査の結果。『もはや大阪維新の会の候補だからといって当選できるわけではない』と彼ら自身が言っている」と。西谷さんは、次の府議選では「カジノ・IR」「都構想」や地元課題を争点に公開質問状・公開討論会をやれば、定数1の選挙区でも維新に勝つ見込みがあると力説した。
副首都構想は前回否決済み
特別講演をおこなった帝塚山学院大学名誉教授の薬師院仁志さんは、過去2回の住民投票の「勝因」を振り返った。始まりは2011年の大阪市長選だった。橋下徹に対抗するために維新以外の全政党が平松邦夫市長(当時)を推した。平松氏は前回以上の得票だったが、橋下に勝てなかった。それほど維新が強かった。しかし、全政党が反維新で選挙を戦ったことは無駄ではなかった。それがあったからこそ、2015年、2020年の住民投票で全政党が反維新でまとまった。それが「勝因」だった。
維新は3回目の住民投票を理由として「副首都」を上げているが、2020年の住民投票でも「副首都」を争点として掲げていた。薬師院さんは「都構想も副首都も両方とも否決済み」と「住民投票をせよというなら、結果に従え。結果に従わない人に住民投票をさせられる義理はない」の2点を重点的に訴えていこうと提案した。
参加した市民からは「特別区になって豊かになると信じている人がいる」「大阪市が廃止されれば、次は隣接する市がねらわれる」「維新による自治破壊を許してはならない」「SNSを活用しよう」など活発な意見が出された。
市民ネットは当面、法定協の議論の即刻中止を求めて、各地の学習会、市民集会、タウンミーティングなどを実施するとともに、街頭・地域・個別訪問による署名活動を行うことを確認した。(相馬豪志)
