
周知のように、アメリカの正式名称は「アメリカ合州国」で、1776年にイギリスから独立して建国された。北アメリカ大陸の大半を占め、面積は約9,833,517平方キロメートル(ハワイ諸島も含む)で世界第3位、人口は3億4900万人の多民族国家である。資本主義世界経済のトップであり、国際政治でも優越的な位置を占めている。政治体制は議会制民主政で、民主党と共和党の二大政党が政権交代している。1863年の「奴隷解放宣言」発令以降も「白人優越思考」が根強い(2009年に民主党員で黒人のバラク・オバマ氏が大統領に就任したが)。また、憲法で「銃の所持」が認められている「銃社会」でもある。1951年から日米安保条約を締結している。
米政府によると、昨年1月時点で路上や車などで暮らす人は全米で推定約26万人。ラスベガスの地下トンネル網に物価高による困窮や薬物依存によるホームレスが1500人も暮らしている。ニューヨーク市では家賃が高騰し市民の25%は貧困層である。
「東京新聞」7月13日号に「資本主義への不満、米で拡大、過半数に」という一段見出しの小さな記事が掲載された。それによると、米紙「ウオールストリート・ジャーナル」電子版は、米国内で資本主義への不満が強まっているという世論調査結果を報じた。資本主義が「全く」「あまりうまく」機能していないとの回答が51%と過半数を越え、2015年の37%ら14ポイント上昇した。民主主義が「全く」「あまりうまく」機能していないとの回答が56%だった。
3月28日に、「王は要らない」をスローガンにした大規模なデモが全米3300カ所以上で展開され800万人が参加した。ニューヨークではバーニー・サンダース上院議員(後述)が「暴走するトランプ政権の軍国主義を止めなければならない」と訴えた。
アメリカ経済は、2025年の実質GDP成長率は約2.0と予測され前年より減速している。トランプ政権の保護主義的な関税政策やイラン侵略によって物価高が続き家計を圧迫している。
トランプ大統領は、1月には「私には国際法は必要ない」と高言し、「アメリカ民主的社会主義者」(DSA、後述)などについて6月末からの17日間に81回も「共産主義」と非難の言葉を発した。2月には地球温暖化を「詐欺」と非難して「パリ協定」から再離脱した。7月にアメリカ建国250周年を記念し、自分の顔をあしらった1ドル硬貨を造った。8月18日には、国際刑事裁判所(ICC)の解体を狙ってその所長赤根智子さんに対して「制裁」を加えた(だが、高市早苗首相は「大変残念」と言うだけで、「制裁」の撤回をトランプ大統領に要求しない!)。イランへの侵略では「和平交渉」は失敗し泥沼化し、イランとの経済関係を保持するカナダなどへの経済制裁を強化している。9月1日にはイランへの空爆を再開した。
トランプ大統領の支持率は、8月中旬の世論調査で過去最低の33%まで低落した(ロイター)。このままでは11月2日の中間選挙での共和党の敗北となるであろう。
このような状況のなかで、DSAが台頭している。
DSAは、1982年に活動を開始した。政策としては、国民皆保険の導入、大学授業料の無償化、富裕層や大企業の課税強化、公共交通機関の拡充などを掲げている。2016年と20年に大統領選挙で話題となったサンダース上院議員もDSAのメンバーである。昨年11月にニューヨーク市長選挙でDSAのゾーラン・マムダニ氏が勝利した。最近では、11月2日の中間選挙にむけて、8月4日にミシガン州で野党民主党上院予備選挙で急進左派のアブドゥル・エルサイド氏が勝利し、11日にはミネソタ州での民主党上院予備選挙でペギー・フラナガン同州副知事(女性)が、18日には下院議員のアンジー・ニクソン氏が主流派候補に勝利した。
日本でもDSAが台頭するアメリカの現状について話題とするようになった。関連する著作も刊行されている。矢作弘氏(龍谷大学名誉教授)の『社会主義都市ニューヨークの誕生』(学術出版社、2026年1月)。ジャーナリストの池上彰氏もテレビで解説している(7月20日、テレビ東京)。
今年四月に志位和夫議長らが訪米してDSAとの交流を開始した共産党の「赤旗」では、8月休日に「DSA市長誕生の見込み 米ミシガン・アナーバー〔市〕予備選で現職破り」の三段見出しの記事を掲載、さらに17日に紙面4分の1近くの大きな紙面で「民主党上院予備選挙 中西部2州で進歩派勝利 市民運動が結実」の見出しで、民主党の上院予備選挙を報じた。20日には「DSA候補が勝利 フロリダ州民主党上院予備選」の記事を掲載した。
アメリカでの貧富の格差の拡大や「DSA」の台頭は、「資本主義」とは何であり、「社会主義」とは何かを改めて問うている。その意味では、〈社会主義〉を論じる好機が到来しつつあると言える。
