「大阪空港の特定(軍事)利用を許さない」学習会が行なわれた(10月2日、尼崎市内)。中山徹さん(奈良女子大名誉教授、自治体問題研究所)が「伊丹空港の特定利用空港指定、何が問題か、どうすべきか」などを話した。中山さんは「戦争できる国づくりの現段階」として、2015年安保法制の成立、集団団的自衛権の行使、安保3文書・安保法制の実質化、敵基地攻撃能力の保有、防衛予算の倍増などにふれ、自衛隊基地が新設、増強されていることを次のように述べた。
国家安全保障戦略・安保3文書
特定利用空港・港湾とは、国家安全保障戦略=安保3文書(2022年12月)、「わが国内で対応能力の強化するため、有事の際を念頭に置くと、自衛隊基地だけでは不十分」…。だから、総合的な防衛体制を強化するために、「民間の空港や港湾を自衛隊の平素の訓練、有事の際の展開等に活用する必要がある」「自衛隊のニーズに基づき、空港・港湾等を整備、強化し、同時に有事の際の対応も見据えた空港・港湾の利活用に関するルール作り等を行なう」「これらの取り組みは、自治体、住民等の協力を得つつ推進する」としている。
特定利用空港の状況、主な訓練には「航空機の離発着・操縦訓練、人員・物資の緊急輸送訓練、空港管理者との連携、通信訓練等が上げられている」「自衛隊基地が使えなくなったことを想定し、白浜空港(特定利用空港)で航空自衛隊が離発着を実施、航空自衛隊のF15戦闘機4機が、滑走路に着陸したあとすぐに離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を実施された(2025年10月21日)。全国の特定利用空港でも同様に、自衛隊の訓練・演習が行なわれている。
戦争に「民間、軍用」区別ない
特定利用空港の問題点、「有事の際、攻撃目標になる危険性・国際法上、民間空港は民間施設に分類され、攻撃することが禁じられている」「しかし、民間空港であっても軍隊が部隊展開などを行なう場合は、国際法上も軍事目標に位置づけされる」「民間空港を攻撃する際は、軍事目標と民間人、民用物を区別しなければならない」となっている。
政府の見解は、「特定利用空港・港湾は、平素における空港・港湾の利用を対象としたものであり、武力攻撃事態のような有事の利用を対象とするものでない」「平素に自衛隊が利用するものであり、それによって攻撃のリスクが高まるとは言えない」「むしろ自衛隊の訓練などに役立ち、抑止力が高まり、国民の安全に繋がる」としている。しかし、市民・周辺の住宅地が攻撃に巻き込まれる危険性はある。
「抑止力」論は本当か
国際法上は、「有事の際に民間空港を攻撃する場合、軍事目標と民間人、民用物を区分しなければならない」としているが、実際に可能か。戦争において国際法が遵守されているのであれば、ウクライナやイラン、ガザ地区など、子どもを含む民間人が多数、殺害されるようなことは起こらないはずだ。
また、「抑止力が高まり、安全が増す」というのは本当か。沖縄・先島諸島に基地を整備することにより「抑止力を高めている」と言いながら、先島諸島12万人の避難計画を立てているのはなぜか。全国のミサイル基地化を進めながら、緊急一時避難施設の指定を全国で進めているのはなぜか。さらに、訓練に伴う騒音問題なども起こっている。
「国専管事項」ではない
「防衛は国の専管のため、自治体は静観するしかないという意見があるが、それは明らかな間違い。自治体は国が進める戦争できる国づくりを静観するのではなく、地域と市民を守る砦になるべき」「沖縄をはじめ、いくつかの自治体が頑張っているように、特定利用空港・港湾の指定は管理者の同意が必要。沖縄の指定は3カ所、「那覇空港の管理者は国、石垣港は石垣市が管理者、平良港は宮古島市が管理者」である。
沖縄県内13空港のうち12空港は県が管理、県内41港湾のうち39港湾は県が管理者、もしくは県が入った管理組合が管理している。沖縄県の同意がなければ、特定利用空港・港湾の指定はできない。沖縄の古謝新知事は、当選が決まった9月13日夜の記者会見で、「特定利用空港・港湾の指定を進める」と明言している。
伊丹を軍事利用させるな
伊丹空港は、1939年1月に民間空港として開港している。第2次世界大戦で軍事空港になり、1945年8月、米軍に接収され米軍伊丹航空基地となる。1950年、朝鮮戦争の出撃・補給拠点になった。そして1953年3月日本に返還される。2012年、新関西国際株式会社(国100%出資)が設立され、2015年、関西エアポート株式会社が設立された。伊丹空港は、滑走路・土地は新関西国際空港株式会社が所有し、関西エアポート株式会社が運営している。
伊丹空港を考える視点として、「軍事利用させない」「環境対策を優先させる」「空港のポテンシャルを生かしたまちづくり」が重要である。どうするべきか。2026年3月30日、政府は兵庫県に対し、伊丹空港を特定利用空港の候補にしていることを説明した。伊丹空港の管理者は新関西国際空港株式会社(100%政府出資)であり、おそらく年内に決まるのではないか。
尼崎市は、市民の意見を聞き、市民の不安が解消されない限り受け入れ容認などの発言は慎むべきである。尼崎市民の多くは、伊丹空港を巡る状況を知らない。様々な方法で市民に現状を知らせていくこと。市民向け説明会など開催を求めていくべき。全国的に同じ問題(特定利用空港・港湾)が発生、横の連携を進めていきたい。
「有事、平時」は区別できない
防衛は市民生活に関係するため、「国の専管事項」ではない。特定利用空港について、自治体は市民の安全を守るため毅然とした態度をとるべきだ。ただし、自治体だけで「毅然とした態度」を表明するのは困難であり、市長を支える市民運動が必要。もし指定された場合は、指定の撤回、訓練の監視などの運動として継続、発展させる必要があると述べた。
木村真・豊中市議は、10市協での活動、街頭宣伝・学習会の取り組みを報告した。マスコミ・メデァが全く報道しないことと、各自治体が明確な態度をとらないことに苦言を呈した。
「市民大集合 みんなで声を上げよう!」「大阪国際(伊丹)空港の軍事利用は反対!」集会とデモ(10月25日=日、午後2時から)が、1000人を目標に進められている。「ぜひ、参加を」と呼びかけた。
小村潤・尼崎市議は、「尼崎市長が、特定利用空港問題は国と空港管理者との話、有事のことではなく平時のことであり、たいしたことではない。平時において災害に備え整備するものであると言っている」「これからの動きは、10市協を通し情報を求めていくと述べている。大切なのは、平時と有事は区別できないということであり、これからも追及していく」と報告した。
会場には、多くの市民がかけつけた。「年内、特定利用空港・港湾の指定」の動きに、たたかいを拡げ、「戦争できる国づくり」に反対していこう。(庄)


