「第2の開港」に戦闘宣言を発した反対同盟=3月29日、千葉県山武郡芝山町

 昨年5月、NAA(成田空港会社)は、成田空港を大拡張する本格工事をスタートさせた。この「第2の開港」と称するプロジェクトは、実り豊かな北総台地を破壊し、空港の激甚騒音と排ガスで周辺の住民は住めなくなってしまう。国・NAAは第3滑走路建設などの空港拡張・機能強化策をメインに、2029年3月に完成予定としていた。千葉県や周辺自治体はこの大規模な環境破壊に反対するどころか、「第2の開港は、空港と周辺地域が一体となって発展していくための未来への道筋」(成田エアポートシティ構想)として歓迎している。
 NAAは用地買収のために「国策」を振りかざし、「軒先工事」の脅しで地権者に同意を迫ってきた。しかし用地の確保は遅々として進まず、当初予定の2029年3月開業の延期に追い込まれた(3月31日)。

 頓挫した29年3月供用開始
 これまで国・NAAは、地域住民の将来生活への不安や騒音・大気汚染などの被害を顧みず、「空港拡張の必要性」ばかりを強要してきた。2025年度内(今年3月)に用地確保のメドをつけるために、昨年秋に「説明会」を開き、12月に国交大臣が現地を視察した。さらに国・NAAは千葉県や地元3市町(成田市、芝山町、多古町)の首長を抱き込んで「未取得用地の地権者に用地提供の協力を求める共同声明」(2025年12月24日)を出し、期限の迫った3月には千葉県下の経済団体も共同声明を出し、「元反対派」の石井新二や石毛博道、相川勝重(元芝山町長)らを使って「事業認定申請(土地収用法適用)提言」を行わせるなど、用地確保に必死になっていた。まさに用地買収に応じない地権者は「国賊」と言わんばかりの攻撃を行っていたのである。しかし第3滑走路用地の10%近くが未買収地として残された。結果、「第2の開港」プロジェクトの29年3月開業は頓挫したのだ。

 国・NAAが「力の対決」に舵切り
 いま、未買収地を強制収用するために土地収用法の適用にむけた動きが始まっている。
 成田空港に反対してきた三里塚闘争は今年で60年になる。その闘いの原点は「農地死守」であり、土地収用法との闘いの歴史でもあった。今回の動きは国・NAAが「話し合い路線」から「力の対決」へ再び舵を切ったことを示している。この重大な転換を見据えて、三里塚芝山連合反対同盟と共に直ちに反撃に立ち上がらなければならない。
 反対同盟は3月29日に芝山町で行われた現地闘争で、「第2の開港」に対する「戦闘宣言」を発した。反対同盟の萩原富夫さんは空港周辺住民と共に闘う方針を打ち出し、伊藤信晴さんはフィールドワーク等の取り組みを行っていることを報告した。

 耕す者に権利あり
 「第2の開港」をめざすNAAにとってネックとなっているのが、市東さんの南台農地の問題だ。NAAが南台農地を強奪するために起こした裁判は提訴から18年目で一審千葉地裁判決(2025年3月)が出た。これは市東さんに土地明け渡しを命ずる不当判決だったが、国とNAAはそのために18年もかけなければならなかった。しかも強制収用のための「仮執行宣言」を付けることはできなかった。彼らにとっても「無謀な訴え」だったのだ。南台農地が市東家が何十年にわたって耕し続けてきた農地だという事実を消し去ることは誰にもできないのだ。
 南台農地をめぐる控訴審の審理は、9月頃に東京高裁で始まると見られる。数回の審理で判決というのが常套の高裁だが、実質審理を強く求めていかねばならない。 「農地は命」「耕す者に権利あり」を訴え続けよう。(野里豊)