近畿地方も梅雨入り、午前中は晴れていたのに、午後からは雨が降ってきた。「お母さんが、小学生の男の子に傘を持って迎えに行ったのだろう」という親子に、歩道で遭遇した。男の子が、私の前でいきなり傘を逆さまにし、先端を地面につけくるくる回しだした。その仕草が面白く、立ち止まって微笑みながら見ていた。しばらくして、お母さんも微笑みながら「おじちゃんの邪魔になるから止めなさい」と言う。「いえいえ、大丈夫ですよ」と返事した。男の子は、お母さんに優しく諭されたので、くるくる回しを止めた。
昔のアメリカのミュージカル映画、『雨に唄えば』をご存知だろうか。主役のジーン・ケリーがどしゃ降りの雨の中、傘をくるくる回したり、放り投げ受け止めたりしながら、歌い踊るシーンが秀逸な映画だ。男の子が『雨に唄えば』を知っているとは思えない。自分で傘をくるくる回すと面白いと考えたのだろう。子どもの自由な発想を認め、それがもし他人に迷惑になるならば、優しく諭す。これこそが「教育」だと思う。
では本題に入る。3月に起きた沖縄県辺野古沖のボート転覆は、非常に痛ましい事故だ。亡くなられたお二人の、冥福をお祈りする。ボートの運営団体と高校に、安全管理の徹底した改善が求められるのは、言うに及ばない。
しかし、この事故と結び付けるかたちで文部科学省が、高校が行なっている平和学習を「政治的に偏っている」とし、高校を「教育基本法違反」と認定したことは、納得いかない。ボートの運営団体は、辺野古新基地建設に反対する全ての政党や政治団体と繋がりがあるが、一政党とのみ関係しているわけではない。
さらに、「政治的中立」を言うならば、辺野古新基地建設に賛成する立場と、辺野古新基地建設に反対する立場の両方を教えるべきである。本土に居ては、反対の立場がわかりにくいのだから、現地で学習するのは当然である。生徒たちに両方の立場を聞かせた上で、「あなたたちは、どう考えるか」とするのが中立だ。むしろ、それをさせようとしない政府の方が中立性を欠いている。
子どもたちには、できるだけいろいろな考え方を知らせ、それを基にして大人の想像の及ばないような発想をして欲しいと願っている。私が、元教員だったから、特にそう思うのかもしれない。平和教育に歯止めをかける政府は、これに留まらず政府の政策に異を唱えるような教育は全て排除するだろう。そうなれば、想像力を持たない無表情な人間ばかりになるかもしれない。
以上のことから、文部科学省は先の高校に対し「教育基本法違反とした事を撤回する」と通知してほしい。
追記。雨続きで「うっとおしい」と思われたら、先の『雨に唄えば』を観るべし。(片岡英夫)