正義党が東電に抗議

韓国の野党・正義党は福島第一原発の汚染水海洋投棄に反対して東京電力本社への抗議行動と福島第一原発の視察(23日)を行った。私も同行したが、日本からは社民党の大椿裕子参議院議員が参加した。
東京電力は正義党の国会議員との面会を拒否し、抗議書も受け取らなかった。私はこうした東京電力の対応に憤りを禁じ得ない。「海は日本の私有地なのか」と言いたい。日本を取り巻く諸国が海洋投棄に反対する中で、唯一、事実上の賛成を与えているのがユン・ソンニョル政権である。

放送通信委員会を掌握

韓国で「ムンジェインです」というドキュメンタリー映画が公開された。公開前にその一部を見ることができた。そのなかでムンジェイン前大統領は「あっという間に民主主義が崩壊し、今は虚しい気持ちだ」と発言していた。公開時には削除されたが、これは前大統領の意向で「不必要な誤解を生みたくない」ということだった。
さて、韓国の民主秩序の崩壊と来年4月の総選挙をめぐる状況を象徴する事例が、韓国の放送通信委員会をユン・ソンニョル政権が掌握しようとしている問題だ。韓国では放送通信委員会という大統領直属の合議機構が放送と通信を管掌している。審議を行うのは委員長を含めた5人の審議委員。5人のうち3人は与党が指名し、残り2人を野党が指名する。
審議委員の構成は与党有利になっているが、大統領の任期5年に対して審議委員の任期が3年のため、政権交代の際に与党の審議委員が少数になることがある。実際に昨年の政権交代でそれが起こった。
するとこの3月、ユン大統領は野党(民主党)推薦で国会が決議した審議委員を任命しなかった。これで審議委員の構成は与党2:野党2となった。
さらにユン大統領の意を受けた検察は7月31日で任期が切れる野党(民主党)推薦のハン・サンヒョク委員長を「ケーブルテレビ局の再承認をめぐる不正の疑い」で逮捕状を請求(3月22日)した。しかし裁判所は請求を棄却した(同29日)。すると検察は不正に関する明確な証拠を示さないまま、ハン委員長を虚偽公文書作成などの容疑で5月2日、非拘束で起訴した。
この起訴が国家公務員法の「品位維持の義務」(63条)に反するとしてユン大統領はハン委員長の免職案を裁可した(5月30日)。しかし国公法の義務違反で、政務職公務員を免職するのは違憲の疑いがある。また起訴事実だけで免職すれば、「推定無罪原則」に反する重大な憲法違反である。
ハン委員長は処分取り消し請求訴訟と執行停止申請で対抗しているが、放送通信委員会は与党2:野党1に逆転した。

公共放送に圧力

すぐさまユン大統領が着手したのが、公共放送KBSの受信料を電気料金と分離して徴収するように改める内容の放送法施行令の改正である。韓国ではテレビを持っている人に、毎月、KBSの受信料2500ウォン(約270円)が課され、韓国電力公社が、電気料金と合わせて受信料を徴収している。
ところが国民の9割以上が現行の受信料徴収方法の変更に賛成しているとする調査結果を根拠に、大統領室は受信料を電気料金と分離して徴収する方法へ変更する方針を打ち出した。これを受けた放送通信委員は6月、分離徴収を盛り込んだ放送法施行令改正案を告示、7月中旬に公布される見通しだ。通常の40日間の告示期間を10日間に短縮したが、告示期間中の意見は「反対」が圧倒的に多かった。
KBSは、分離徴収となれば受信料収入が半分以下に減り、国際放送や障害者向け放送などの公共サービスが縮小されるとの懸念を示しており、野党は「受信料を武器に公共放送をコントロールしようとしている」と、政府を批判している。
また後任の放送通信委員会委員長にイ・ドングァン大統領室特別補佐官が任命された。彼は、イ・ミョンバク大統領時代に広報首席秘書官やメディア特別補佐官を歴任し、「政府が放送を掌握するための法律」と野党が批判したメディア関連3法の強行やKBS社長追放、MBCの調査報道番組「PD手帳」制作陣に対する検察の捜査や起訴の陣頭指揮をとっていた。まさに放送通信委員会委員長に最も相応しくない人物である。
こうした一連の事態は、ユン大統領が、総選挙に向けてメディアを統制下におこうとしていることを物語っている。(つづく)