
第2次高市改造内閣の発足に伴い、政府は18日、副大臣・政務官計55人の人事を閣議決定した。臨時国会の召集は10月5日の見込み。
第1次高市内閣発足から1年。貧困と戦争に突き進む高市内閣との対決はここからが正念場だ。米トランプ政権によるイラン侵略戦争の終わりが見えない中で、米中間選挙(11月3日)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(11月18~19日、開催地は中国)、国内では2027年4月統一地方選挙という政治日程を控えているが、本稿では、高市改造内閣の閣僚人事を中心に分析しつつ、高市改造内閣の弱点を考察する。
自民支持層でも「裏金」反対53.6%
まずは、時事通信が9月17日に公表した世論調査について、以下の事実に注目したい。「自民派閥の裏金事件に関与した議員を閣僚や党役員に起用することに対し、「反対」が68.6%で、「賛成」の11.8%を大きく上回った。自民支持層で見ても反対は53.6%に上った。」高市政権をとりあえず支持している人たちでさえ、半数以上が「裏金議員の閣僚や党役員に起用することに反対」ということだ。
このことをおさえて、今回起用された大臣、副大臣、政務官の中で裏金問題、統一教会問題、汚職、違法な広告動画疑惑について問題を抱えた議員24人もいる。関芳弘(文科相)裏金836万円・統一教会関係が大臣に2人、副大臣に6人、政務官に5人だ(重複を含む)。この数を見るだけでも高市政権が、裏金と統一教会にまみれたかつての安倍政権へと急速に回帰しているのは明らかだろう。「教育の責任者」である文科相が裏金議員の関芳弘とは。これに「世も末」と感じる人も多いだろう。
来年の自民総裁選が狙い
高市は事前に政府筋を通じて「政権の骨格は変えない」と情報操作をしつつ、裏金議員らを大幅に登用した。「人事」をエサに旧安倍派を取り込むためだ。同時に小泉進次郎など総裁選の対立候補を閣僚に留任させ、独自行動を取りづらくさせている。高市は「実力本位で選んだ」と強弁しているが、総裁選向けの見え見えの人事であることは明白だ。
また高市は自分の意見に異を唱える者を次々と排除している。ホルムズ海峡への自衛隊派兵について前向きな姿勢を示した高市首相に対して、強く異論を唱えと言われる今井尚哉内閣官房参与(特命担当)が、政策決定の場から遠ざけられた。高市の税制方針と対立した一松旬財務省主計局長は東京税関長に異動となった。
26年度予算案の審議で、参院において野党との慎重な審議を重視して高市の不興を買った石井準一が自民党参院幹事長が更迭された。
さらにこの流れから高市は「経済財政諮問会議」の事務局を担うなど、政府のマクロ経済政策の司令塔である内閣府から一気に財務省出身者を排除した。内閣府の局長級以上のポストから財務省出身者が一掃され、主導権は経産省側へ移っている。「財源の保証なきバラマキ政策」の歯止めは完全に失われた。
以上のように、高市にすり寄る人材ばかりを周りにかき集め政権は、この秋の臨時国会でますます独善的なスタイルへとますます純化していくだろう。しかし、その現実から遊離した政策は、生活苦にあえぐ人々の怒りの火に油を注ぐことになるのは間違いない。
女性層の高市離れが顕著
そうした政権の危機は既に現れている。女性の支持率が下がっているのだ。時事通信社の9月世論調査によると、内閣支持率は44.1%(前月比4.3ポイント減)と4カ月連続で減少し、発足後の最低を更新した。性別では、男性46.2%(同3.9ポイント減)に対し、女性41.8%(同4.7ポイント減)。女性の支持率は、衆院選直後の2月調査から23.9ポイント低下しており、女性の「高市離れ」が顕著となっている。これは「女性がトップになれば変わるのでは」「2世議員ではないので庶民感覚がわかるのでは」という当初の期待が急速にしぼんできた可能性があるということだ。「市民生活の苦しい現実にふまえていない」と人々が感じ始めると、「高市幻想」のメッキは剥がれてしまうのだ。
当面する政治的節目は来年4月の統一地方選だが、その闘いは高市の独善的国会運営と人々の生活苦と矛盾が最も大きくなる年末にむけた過程ですでに始まっている。(淀川一博)
